絆徳経営で重要なのは「相手はどんな人で、何を求めているのか?」を常に考え続けることITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

20世紀型の成功哲学により、長時間働く人がすごい、お金を稼いでいる人がすごいという価値観に社会が一気に席巻された。20世紀型の成功モデルを否定するわけではないが、これからの企業は、「お客さまに対して価値を提供し、絆を作る」ことを感覚的に感じ取ることが必要になる。

» 2023年05月16日 07時08分 公開
[山下竜大ITmedia]

 ライブ配信で開催されているITmedia エグゼクティブ勉強会に、ラーニングエッジ 代表取締役社長の清水康一朗氏が登場。著書『絆徳経営のすゝめ 〜100年続く一流企業は、なぜ絆と徳を大切にするのか?〜(フローラル出版)』の内容に基づき、『人が辞めなくなり、売上が伸びる! いま成果を出している企業が取り組む「絆徳経営」とは?』をテーマに講演した。

ラーニングエッジ 代表取締役社長 清水康一朗氏

絆徳経営を実現するポイントは「マーケティング」と「組織作り」

『絆徳経営のすゝめ 〜100年続く一流企業は、なぜ絆と徳を大切にするのか?〜(Amazon)

 「絆徳」とは、「あなたが、相手によいことをすることによって、ずっと一緒にいられる関係性」のことである。「あなたが、相手によいことをすることによって」というのが「徳」であり、「ずっと一緒にいられる関係性」が「絆」である。「相手」を「お客さま」に、「ずっと一緒にいられる」を「リピートされる」に変えるとより分かりやすくなる。

 「“絆徳”という言葉を意識するだけで、多くの会社の仕事の中身が変わってきます。例えば現場の営業担当者が、お客さまによいことをすることで、そのお客さまとずっと一緒にいられる関係になれます。言われてみると当たり前のことかもしれませんが、いざ実践しようとするとなかなか難しいのが実情です」(清水氏)

 必要なのは、常に「相手はどんな人で、何を求めているのか?」を考え続けることである。労働人口がどんどん減少している現在、企業では人材の採用が非常に難しくなっている。これからの時代、社員の定着率、離職をしない組織作り、社員が働く幸せをいかに実現するかなどが非常に大きなテーマとなる。

 清水氏は、「上司のあなたが、部下によいことをすれば、ずっと一緒にいられる関係性になれます。ずっと一緒にいられる関係性とは、心がつながっている状態です。既存のメンバーが定着し、活躍し、成長してもらうためにはどうすればよいのでしょうか。絆徳経営を実現するポイントは、“マーケティング”と“組織作り”の2つです」と話している。

顧客との絆を作り、収益を上げるためのマーケティングの本質とは

 20世紀型の西洋的な成功哲学により、自己責任において「目標を設定し、達成する」ことで結果を出さなければならないという仕事の仕方が広まってしまった。これは個人を成長させるためには効果的であるが、うまくいかない人が取り残され、働く幸せを実感できない仕事の仕方でもある。

 清水氏は、「西洋的な成功哲学は、一部の成功者だけがうまくいき、ピラミッド型の格差が広がるモデルです。しかしこれからは、単に売れればいい、稼げればいいではなく、お客さまと絆を作りながらマーケティングをする売り方、仕事の仕方に取り組んでいくことが必要です。20世紀型の成功哲学とは、明らかに変化しています」と話す。

 顧客との絆を作りながら、収益を上げるためには何をすればよいのか。マーケティングの本質は、(1)お客さまを理解する、(2)商品価値を言語化する、(3)仕組みで販売を伸ばすという大きく3つである。

(1)お客さまを理解する

 誰を振り向かせたいのか、振り向かせたい人を振り向かせることができればマーケティングは成功である。そのためには、相手はどんな人で、何を求めているのかを理解し、それを感じ取ることが重要になる。例えば、ある再生医療で注目される膝クリニックのWebサイトには、「ひざの痛みでお悩みのある方へ、普通に歩ける幸せを目指す!」と書いてある。この言葉は、「患者の多くはお年寄りで、家族や孫と普通に歩きたいと思っている」という、相手が何を求めているかという本質的なニーズに寄り添っている。

(2)商品価値を言語化する

 機能的価値ではなく、感情的価値を言語化することが必要になる。提供する商品やサービスをひと言でいうと何かということであり、それはよいといってもらえる言語化ができていることが重要になる。例えば、ある高級ブランド時計は、「それは何ですか」といわれると説明しにくく、なかなか売りにくい商品である。しかしこの高級時計メーカーでは、「有名人も使っている、週末に使うセカンドウォッチ」と言語化した。富裕層の人はすでに高級時計を持っているが、「週末に使うセカンドウォッチ」という秀逸なコピーにより、この高級時計は売れるようになった。

(3)仕組みで販売を伸ばす

 商品やサービスを価値あるものとして提供し、販売を伸ばすために重要なのは、大きく3つ。きっかけを作り、関係を作り、感動を作る仕組みである。

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