ヘルスケアの課題解決案を出し合う「データソン」 DeNAと横浜市立大が人材育成で連携

参加した学生らは介護士や薬剤師、獣医師などで、医療現場のデジタル化により、データに基づいた病気やけがの予防といった新たなヘルスケアの実現を目指す。

» 2024年10月07日 09時20分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 ディー・エヌ・エー(DeNA)グループでヘルスケア事業を展開するDeSCヘルスケア(東京都渋谷区)と横浜市立大が連携し、データサイエンスを専攻する大学院生が医療ビッグデータを分析して社会課題の解決についてアイデアを競い合う「データソン」をこのほど開催した。参加した学生らは介護士や薬剤師、獣医師などで、医療現場のデジタル化により、データに基づいた病気やけがの予防といった新たなヘルスケアの実現を目指す。

横浜市立大の大学院生がビッグデータを分析し、ヘルスケアの課題解決ついてアイデアを競い合った=横浜市西区

 データソンとは、データと「マラソン」と組み合わせたIT業界の造語で、データサイエンティストらが集まってチームを作り、特定のテーマに対して集中的にデータ分析をして解決策のアイデアを出し合うイベントを意味する。今回のイベントでは歩数と腎臓機能の関係性を分析した。

手書きメモなどが使われる現場も

 DeNAがヘルスケア事業で蓄積したデータに匿名化などの加工を施し、ビッグデータとして使用した。データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻の大学院生13人が3チームに分かれ、さまざまなデータを抽出して、因果関係などの仮説を披露した。

 理学療法士の岡徳之さん(39)は「何万人分という大きなデータを分析することができ、貴重な経験になった」と振り返った。

 大学院生は医療現場を経験し、デジタル化の必要性を実感し、大学の門をたたいたという。薬剤師の北牧舞さん(33)は「医師と薬剤師のやり取りは、手書きのメモなどアナログな手法が残っていて、デジタル化することで記録に残す必要を感じた」と話す。

証拠に基づく医療を動物に

 獣医師の古里司紋さん(29)は「血液検査などのデータは膨大にあるが、治療では生かされていない。しゃべることができない動物だからこそ証拠に基づく獣医療が必要になってくる」とデータ分析の重要性を強調した。

 横浜市立大学とDeNAは令和4年8月にヘルスケア分野を主としたデータサイエンスに関する産学連携協定を締結。共同で教育プログラムを企画し、医療分野でのデジタル人材の育成に注力している。(高木克聡)

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆