定年後の給料が4割減……40・50代が知らないと地獄を見る“再雇用の残酷すぎる現実”(2/2 ページ)

» 2026年02月10日 07時08分 公開
[北口正人ITmedia]
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エグゼクティブが取るべき「セカンドキャリア」の処方箋

 では、どうすればこの残酷な現実を回避できるのか。著者は「再雇用は100%安全ではない」と断言した上で、複数の選択肢を持つことを推奨している。

処方箋1. 「自身のブランド」の棚卸しとニッチ戦略

 IT業界の管理職は、高度な専門性とマネジメント経験を併せ持っているはずだ。しかし、会社内での評価は、必ずしも市場価値と一致しない 。 まずは、自分のスキルを細かく分解(棚卸し)し、他者には負けない「ニッチな分野」を特定することだ 。例えば、単なるITコンサルではなく、「3つの業界(例えば製造・物流・IT)をつなぐDXアドバイザー」といった、複数の強みを掛け合わせた肩書きを自ら作り出すことをお勧めする 。

処方箋2. 「組織外」のネットワークを構築する

 定年後に成功している人の共通点は、サラリーマン時代から社外に「頼り、頼られる」ネットワークを持っていたことだ 。 会社の看板で付き合う関係ではなく、個人として信頼される関係をプライベートで築いておく 。著者は「ギブを100回、テイクを1回」の精神で、見返りを求めず人の課題を解決する習慣が、後に大きな資産(優良な人との信頼が深いネットワーク)になると説く 。

処方箋3. 「30年家計簿」で現実を直視する

 漠然とした不安を解消するには、数字で現状を把握することもお勧めする。再雇用以外の選択肢を持つ場合、配偶者を説得する必要がある。そのツールとして60歳から90歳までの30年間の収支を予測する「30年家計簿」を作成し、配偶者と共有することだ 。年金、退職金、そして「いくら稼ぐ必要があるのか」を可視化することで、再雇用にしがみつくべきか、リスクを取って独立すべきかの判断基準が明確になり、配偶者も説得しやすくなる。

処方箋4. テストマーケティングという予行演習

 いきなり辞めるのはリスクが高い。50代のうちから、副業やマッチングサイトへの登録を通じて、自分のスキルが外の世界でいくらで売れるのかを試す「テストマーケティング」を行うべきだ 。 「再雇用よりも独立したほうが手取りは多い」という確信が持てて初めて、次のステージへの扉が開くし配偶者も安心する。

まとめ 今日から「会社の呪縛」を解け

 定年後の人生は90歳まで30年もある 。もはや再雇用という「延命措置」でやり過ごせる期間ではない。ITmedia エグゼクティブの読者諸兄は、変化の激しい業界で戦ってきた強者であるはずだ。その知見を、1つの会社の延命のために使うのではなく、社会全体の課題解決に「選び直す」勇気を持ってほしい 。

 「定年」は終わりではなく、人生を再設計する出発点である 。会社の呪縛から自由になり、自分自身の可能性を信じて動き出したとき、あなたは「会社では得られなかった生きがい」と、残酷な現実を跳ね返す真の自由を手にできるだろう。

 再雇用が終わる65才から健康寿命は10年ある。その期間も含めて地獄を見るか、新たな輝きを放つか。その分岐点は、今、この瞬間からの準備にかかっている。

著者プロフィール:北口正人(元ビルボードジャパンCEO 株式会社B&EP 代表取締役)

1961年5月23日、大阪府生まれ。 和歌山大学経済学部卒業後、1984年に阪神電気鉄道へ入社。

1990年に上司とともに社内起業を行い、「大阪ブルーノート」などを通じてエンタテインメント事業を拡大。名古屋・福岡でもブルーノートを展開し、ライブレストランの文化を確立するなど国内外の音楽文化振興に尽力。 後に米国のチャートで有名な「ビルボード」 ヘブランドを転換し、ビルボードライブやビルボードクラシックスの成功により、日本国内で世界的音楽ブランドの地位を確立した。

また、 タイガースのコンテンツビジネスやグループの広告代理店事業拡大に尽力し、 グループのコンテンツビジネス基盤も築く。 親会社復帰後はグループ全体の新規事業や M&A の責任者として、プログラミング教育やデイサービスなどを起業。 その後、 阪神コンテンツリンク代表取締役社長を務め、働き方改革やインバウンド向きの新たなブランド育成に注力。

2019年には著書『billboard を呼んできたサラリーマン』(ダイヤモンド社)を出版。

2021年3月末に退任し同社の顧問に就任すると同時に、コロナ禍では業界団体を幾つか立ち上げて補助金の枠組みや興行施設の安全指針や業界ガイドライン作成など政府と交渉。 現在は株式会社B&EP 代表としてエンタメ施設の建設運営アドバイザーやビルボードのライセンス元であるペンスキーメディアコーポレーションのビジネス開発アジア地区担当となり、 国内外でのエンタメ施設建設をサポートしている。 また、新たに外食業界の団体の理事などにも就任しエンタメ、 外食業界の発展に取り組んでいる。


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