並木氏には、2つの座右の銘がある。一つは、プロゴルファー・ジャンボ尾崎氏の言葉とされる「積練夢旅(せきれんむりょ)」。日々の探究心、努力、泥臭い準備は、クライアンと共に困難を乗り越える糧となり、そのプロセスの積み重ねが、やがて両者の夢の実現へとつながるという意味だ。
もう一つは「和魂洋才」。欧米企業が得意とするプロセスの標準化や効率化(洋才)を取り入れつつ、日本企業特有の相手を思いやり、高めあう「和」の精神(和魂)でチームワークを発揮する。
「どんなに先進的なAIでも、使うのも運用するのも『ヒト』です。だからこそ、提供するソリューションはヒトに優しく、シンプルで便利でなければなりません」
システムを提供するだけでなく、運用者の負荷を下げ、人の感情に寄り添う「Trusted Advisor(信頼できる相談相手)」であることが、並木氏の流儀である。
現在、並木氏のもとには多くの経営層・ITリーダーから相談が寄せられている。並木氏は、日本の経営層に対して「意思決定のスピード」を変えるよう提言する。
海外企業が驚異的なスピードで進化する中、「検討に1年、決定に1年」というサイクルでは太刀打ちできない。見えない脅威を恐れるのではなく、まずはリスクを可視化・定量化し、従来のやり方に固執せずに次の手へ切り替える柔軟性が求められている。
また、投資の考え方を「事後対処(復旧)」から「予防」へとシフトさせることも重要だ。インシデント発生後の復旧や調査には莫大なコストと時間がかかるが、未然に防げれば、コストもレピュテーションリスクも最小限に抑えられるからだ。
最後に、並木氏はセキュリティの役割をF1レースに例えてこう語った。
「F1マシンがなぜあれほどのスピードで走れるのか。それは『絶対に止まれる』という高性能なブレーキがあるからです。ビジネスも同じです。信頼できるブレーキとしてデータセキュリティを確立すれば、企業はAIやDXというアクセルを全開に踏み込めるのです」
テクノロジーは進化し続けるが、それを使いこなすのは人間だ。並木氏はこれからも、世界中のネットワークを通じて「日本にまだない価値」を見つけ出し、顧客のビジネスを加速させるために伴走し続ける。
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