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» 2007年12月29日 08時00分 UPDATE

【年末年始特別企画】コミュニティーリーダーが占う2008年大予測:個客特性補足したマーケティング革新の始まり

「マーケティング革新の始まりの年」――そう2008年を占うのは「マーケティングとITのコラボレーション」のコミュ二ティーリーダーの鶴田裕史氏。技術の進歩が「個客の補足」を現実的にしようとしている。

[鶴田裕史,ITmedia]

 昔から個人の生活の柱は「衣・食・住」と言われるが、それを支える社会基盤としては「移動」「通信」「流通・購買」「エネルギー」「医療」などが欠かせないものとして存在している。それら社会基盤に対して、近年の急速な技術の進歩はあらゆる面で革新的な地殻変動を起こしている。その結果として、マーケティングの命題でもあった個客の補足、個客への対応にも大きな変化が起こる予兆が見られる。

 2008年以降に向けて、現在の社会基盤の変動が呼び起こす可能性のあるいくつかの変化に着目してみたい。

1.デジタル放送

 薄型テレビは、低価格化だけでなく2011年に予定される地上波デジタル放送への完全移行も追い風となり今後も出荷台数を積上げていくと予想される。新築マンションの供給戸数も増加していることを考えると、CSを含めたデジタル放送の視聴可能戸数も大幅に増加していくと想定される。

 デジタル放送で着目される点は、多チャンネル化と個々のニーズに合わせた番組の提供であるが、それともにインタラクティブなやり取りなど、放送の多機能化を提供できる基盤としても注目できる。これまでの垂れ流される特定の番組を視聴というスタイルから、選んで行動する放送視聴スタイルへの転換期に差し掛かっているとも言えるであろう。

 その結果、顧客属性による興味の把握や特定セグメントへの広告の投入だけでなく、視聴者を顧客と考え提供されるサービスが発展する可能性がある。広告規制の問題もあるが、番組内での物販との連動(例えば、スポーツ中継画面上での物販)、さらにはメニューを細分化しインタラクティブ機能を利用したサービス番組(例えばエクササイズなど)の提供スタイルが考えられる。

 テレビが「住」の中心に置かれてきた環境も考えると、そこに「通信」「流通・購買」、さらには番組などを通じ「医療」などの補助機能を提供できれば、PCに席巻される恐れもあった「家庭の情報ハブ」の座を維持することも可能ではないかと考える。

2.電子マネーと携帯電話

 2007年の3月18日首都圏で「PASMO」のサービス、そして4月23日にセブン-イレブンで「nanaco」のサービスが始まった。それまで交通機関としてはJR東日本の「Suica」、そして店舗などでは「Edy」が使われていたが、昨年始まった新サービスの影響か電子マネーを利用するポイントが格段に増加した。

 また、携帯電話での「おサイフケータイ」によるサービスが開始された時期が2004年頃なので、2008年は4年面に突入する。当初は対応機種も限定されていたが、現在では多くの機種が電子マネーに対応している。携帯電話端末の買替周期を考えると、2-3年前後だと想定されるため、今後電子マネーに対応した携帯電話が多く使用されることになる。

 この2つの事象を考え合わせると、この2年間は電子マネーの普及拡大期であるだけでなく、電子マネー媒体でもこれまで主流であった個々のカードから携帯電話への移行・統合が進むと想定される。

 「移動」「通信」「流通・購買」という3要素に関係する“携帯電話+電子マネー”という組合せは、これまで以上に個人の行動パターンに対するバイアスをかける要素を持っていると考えられる。

 携帯電話を通じた通信事業者以外の個客の囲い込みがさらに激化するだけでなく、高速通信の実現、検索エンジンを含むインターネットの機能の充実などから、さらにサービスの高付加価値化と、携帯電話によって発生する個人の行動履歴の収集と集約が加速すると考えられる。

 この2点が技術での環境変化による大きい変動であるが、売場の側面でもマーケティング環境は大きく変化するはずだ。POSでの出口売上、インハウスカードでの個客の購買履歴だけでなく、店舗間や店舗と生活拠点をまたがった購買特性、さらには店舗内での回遊特性の補足など、今まで困難であった点を線でつなぎ、購買の意識を深く分析するための環境がそろう。沢山の試行が行われると想定される。

 2008年は技術革新やインフラ整備を経て「マーケティング革新の始まりの年」になるかもしれない。

鶴田裕史氏が主催するエグゼクティブ・コミュニティー

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マーケティングとITのコラボレーション

 「ITを活用した新しいマーケテイング」や「マーケティングにおけるITの活用」といった、分かるようで分からないITとマーケティング実務の狭間を行き来しながら、最新の動向や企業の試みを戦略の観点から分析します。


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