2008年に登場する? こんなユニーク・ビジネス【年末年始特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2008年大予測

「つくる」「個人化」「推薦」――2007年にはこんな傾向を持ったビジネスが登場してきた。2008年は一体、どんなビジネスが登場するだろうか? 占ってみた。

» 2008年01月02日 08時00分 公開
[小林啓倫,ITmedia]

 2008年にどんなユニーク・ビジネスが登場するのか――ゼロから発想してみるというのも楽しいが、2007年に個人的に気になった「3つの傾向」から考えてみたい。

「つくる」傾向

 最初の傾向は「つくる」。現実/ネットを問わず、素人でもモノ/コンテンツをつくるという行為が普通に行われる時代となった。特にネットの世界では、2007年は「YouTube」「ニコニコ動画」などの映像系サービスや、ケータイ小説や「Twitter」など新しいタイプのテキスト系サービスが流行するなど、表現方法の多様化が見られる。2008年も「個人が自分を表現する場」が、ネット上に次々と登場するのではないだろうか。

 それに伴い「表現をサポートするツール」の流行も期待したい。例えば、2007年には音声合成ソフト「初音ミク」がヒットした。これは声優の声を合成して、自由に歌わせることができるというものだが、これによってさまざまな作品がつくられてネットに投稿されるという状況が生まれている。

 同様のイメージで、アニメ作品を簡単に作れるツール、また携帯電話で画像や動画の編集を行うツールなど、素人がクオリティの高い作品を生み出すことを可能にするソフトやサービス、施設などが出てくると予想している。

「個人化」傾向

 次の傾向は「個人化」だ。これは「つくる」の形態の1つととらえることもできるだろう。最近はあえて「カスタマイズ」や「パーソナライゼーション」などという言葉を使わないほど、あらゆるモノ/サービスをアレンジできるということが普通になってきた。

 何種類もの色のバリエーションを設けるなど、オプションを多様化するということも一般化している。例えば「子供の名前が入った本」「世界でたった1つのワイン」「自分だけに配合された化粧品」などなど、関連するニュースはいくらでも探すことができるだろう。

 それだけに「この種のビジネスはそろそろ頭打ちなのでは」と感じられるかもしれないが、前述の「初音ミク」のように、カスタマイズを可能にする技術の進化は想像以上のスピードで進行している。あっと驚くようなアイデアを実現する「個人化ビジネス」が、2008年にも続々誕生するのではないだろうか。

「推薦」傾向

 第3の傾向は「レコメンデーション」である。こちらも既に一般化した概念だが、選択肢が多様化・複雑化した時代には、他者からの推薦やアドバイスがますます重要になっていくはずである。2008年はそれを一歩進め、むしろ選択肢を捨てるような発想も一般化するかもしれない。

 例えば「ユニーク・ビジネス」でも取り上げたパーソナルスタイリスト(個人がスタイリストに料金を払い、衣類を選んでもらうなどといったサービスを依頼できる)などは、自分の選択権を放棄し、専門家にゆだねてしまうものと言えるだろう。

 またシリコンバレーでは、“The 4-Hour Workweek”(邦題『なぜ、週4時間働くだけでお金持ちになれるのか?』)という本が流行しているそうだが、この本では「不要な仕事や情報をカットして、やるべきことに集中しろ」という主張がなされている。このように「アドバイスを聞いた上で自分で判断する」という姿勢から、「専門家に任せる」「あえて情報を追わない」という態度へと進む人々が現れ、そこをターゲットにしたビジネスも登場すると予想してみたい。

 とはいえ、予想もしなかったところから出てくるのが本当のユニーク・ビジネス。「これは盲点だった」と思わせるようなビジネスの登場を、2008年も大いに期待したい。

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