度重なるプロジェクトの失敗に頭を悩ます企業は多い。現状はあまりにも属人的になり過ぎているため、ITを活用してプロセスの標準化を図りプロジェクトを円滑にすることが必要だという。
「なぜプロジェクトがうまくいかないのか」、日々こうした悩みを抱えている企業は少なくない。プロジェクトを成功させるためには、立ち上げから完了までの道のりを明確にし、計画通りに進んでいるかどうか段階的に進ちょくを管理しながら、問題点などがあればその都度対応していく必要がある。一見当たり前のことのようだが、プロジェクト管理に苦戦する企業は多く、とりわけ日本企業ではその傾向が目立っている。
全世界で7万6000社以上にプロジェクト&ポートフォリオ管理ソフトウェアを提供するPrimavera Systemsは、今年から本格的に日本市場へ参入した。4年ほど前からパートナー企業を通じて日本で製品やサービスを販売していたが、このたび日本オフィスを構えることとなった。その理由について、ジャパンカントリーマネジャーの早川浩平氏は「アジアパシフィックの事業強化に向けて日本を重要拠点にすべきだいう米国本社からの意向が強い」と話す。中国、インド、シンガポール、オーストラリアと並び日本はTier1拠点になっている。
同社が提供するプロジェクト管理ツールは、エンジニアリングや建設を中心に、製造、電力、航空など幅広い分野で活用されている。元々はグローバル全体で人や工数を管理するような大規模プロジェクト向けにつくられたツールだが、最近ではIT業界からの引き合いも強く、情報システム部門やシステムインテグレーターが開発プロジェクトの失敗を防ぐ目的で導入を検討するという。
ただしプロジェクト管理は、「ツールを入れて終わりというようなものではない」(早川氏)。プロジェクトマネジャーの能力や経験、参加するメンバー同士の積極的なコミュニケーションなど人力にかかわる部分が大きく、すべてITで解決できるわけではないからだ。
しかしながら「あまりにも属人的になり過ぎていて、プロジェクトが回らないケースが多い」と早川氏は強調する。そのためにはITなどを活用してプロセスの標準化、共通化を図っていく必要があるという。こうすることでプロジェクトの効率化につながるだけでなく、経営者にとってもあらかじめコストやリスクを把握でき、無駄のない経営管理が行えるようになる。
経営者がIT投資を考える場合、費用対効果はもちろんのこと、いかに経営戦略と結び付いているかを重視する。日本の経営者はIT投資に対して後ろ向きな傾向が強いため、トップダウン型ではなく現場からのボトムアップ型が主流になっている。しかし結果として現場が経営層を説得できずIT投資が適切に行われないケースが多い。こうした市場に勝算はあるのか。
「ERP(Enterprise Resource Planning)が代表的なように、グローバル展開に向けてどう仕組みをつくっていくかが企業で求められるようになった。そこで従来のような手組みではなく、パッケージ導入を良しとする経営者も増えてきた」(早川氏)
加えて、日本でもトップダウンでIT導入を推進する企業が増えてきたと早川氏は説明する。度重なる失敗プロジェクトなどを目の当たりにして、IT投資を柔軟に考えるようになった経営者も少なくないという。逆に「トップがITに対して積極的な一方で、現場がなかなか腰を上げない企業もある」と早川氏は苦笑する。
また日本企業がITの導入を検討する際に、法規制への対応も大きな理由になっている。早川氏は「日本版SOX法や国際会計基準の適用により、多くの企業が内部統制やワークフローを見直している。プロジェクト管理ツールを提供するわれわれにとっては追い風になっている」と意気込んだ。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授