組織遂行力のある組織とない組織の違いは何だろうか。組織遂行力のある組織は、組織のゴールが明確で、所属メンバー全員がゴールに向かって一致協力する体制が整っている。一方で、組織遂行力のない組織は、ゴールが不明確で、メンバーがそれぞれゴールとは違う方向を向いて勝手に自分の仕事をしているのである。
組織遂行力がないと、各メンバーが全力を尽くしているのに組織としての成果がまったく上がらない。その結果、前々回に述べた「思考の枠」にとらわれていく。自分はやることをやっている、頑張っている。組織として成果が上がらないのは他人のせいだ、上司がうまくマネジメントをしてないからだと思い、それぞれ責任をなすり付け合う。
「組織能力」と「組織IQ」という考え方がある。2008年6月19日付の日本経済新聞の「経済教室」で、早稲田大学の平野雅章教授が紹介している。組織IQとは、スタンフォード大学のメンデルソン教授らが開発したもので、下記の5つから構成される。
この5つの面について、組織メンバーに対するアンケートやインタビュー結果から組織IQスコアを計算し、組織を評価する手法である。この5つがないと、組織IQは高まらず、遂行力のある組織にはならない。組織の能力は、そこに属する人の能力とは別物であり、組織の能力が低いと人的投資が無駄になる。
平野教授によると、現在、組織に属する人それぞれの資質を高めるという取り組みは多くの企業で試みられているが、組織IQを高めるという点に関しては、未開拓で手を付けていない組織が多い。リーダーは強いリーダーシップを発揮し、組織としての能力を発揮できる組織を再構築していく必要がある。
では、組織遂行力はどうしたら、高まるのだろうか。わたしは次の7つの方法を提唱したい。
次回以降、このような組織をつくるために、リーダーがどのように自己変革していくべきか具体的に解説していく。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授