フィードバックを受け入れ、改善するというのは、やはり難しいものである。そこで、フィードフォワードという方法を提示したい。
フィードフォワードとは、簡潔に言えば、「変革したいことを1つ決め、それを自分自身で改善していくこと」である。フィードフォワードがなぜ効果的かといえば、次のようなことが影響している。
○ そもそも、人間はネガティブなフィードバックを聞きたいと思っていない
○ 将来に向けてのアイデアを得ることは大好き
○ 自分で決断することを強く望んでいる
○ あなたの影響を受けるすべての人が、あなたの味方になる
○ 人が「正しく」なるように手助けするのは、「間違っている」と証明するよりも、はるかに生産的
フィードバックは、過去の言動に対して、周りの人から意見をもらうものである。しかし過去は変えることができない。これから自分がどう変わりたいかを自分で決め、取り組んでいくことの方がはるかに意味がある。
フィードバックとフィードフォワードの違いは次のとおりである。
フィードフォワードの手順は以下だ。
1. 個人・プロフェッショナルとして重要なことで、変えたいと思う行動を1つ選ぶ。例えば、「人の話をちゃんと聞く」など。
2. その目的を、あなたの周囲の人(同僚や部下など)に直接説明する。
3. その人に、こうなりたいと思っていることを達成するために、どのようにしたらいいか、役立ちそうな2つの提案をしてもらう。
4. アイデアを注意して聞く。メモをとっても構わないが、善しあしの判断をしたり、提案を批判したりしてはいけない。「それはいいアイデア」とポジティブなことを言ってもいけない。ただ、「ありがとう」と言う。
この手順に沿って2つの提案に納得できれば、すぐに行動に移すのである。
リーダーとして、これから改善したいことを自分自身で決め、行動を改善するために自分の信頼できる人に意見やアドバイスを求める。自分の行動について定期的にチェックしてもらってもいいだろう。リーダーとして、自分自身が変革するために、周りを巻き込んでいくので、とても効果が高い。過去の言動について誰かに指摘されるフィードバックよりも効果的だ。人間の心理に即した、非常にいい方法である。
21世紀はフィードバックではなく、フィードフォワードの時代になる。高い生産性を上げる組織を率いて、成功するリーダーになるためには、フィードフォワードが不可欠になるだろう。とても容易なことなので、自分が変えたいと思う行動を書き出し、信頼できる人に聞くことから始めてほしい。新しい発見があるはずだ。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授