2009年、日本企業は本格的な業務プロセス改革に取り組むのか?【新春特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2009年大予測(1/2 ページ)

米金融危機がもたらした世界的な経済不況により、2009年は多くの日本企業において事業などに対する投資の凍結が予想される。こうした時こそ業務プロセスを見直し、改めてビジネス戦略を練るべきである。

» 2009年01月20日 07時45分 公開
[日沖博道(アビーム コンサルティング),ITmedia]

 金融危機発の同時不況が世界に広がる中、多くの日本企業も戦略変更を余儀なくされている。2008年度当初に掲げた事業拡大プランを大慌てで延期・中止したケースもあろう。

 実は2007年後半の米Gartner調査などでは、日本企業の多くが、世界の趨勢(すうせい)に追い付くべく「業務プロセスの見直し」を最優先課題に挙げていた。IT業界では本格的IT導入がさらに盛り上がることを期待していたはずである。ところが年度後半からは新規プロジェクトがいくつもストップしている模様である。急速に不況色が強くなる景気動向下、「イケイケドンドン」気分で計画したITプロジェクトにはあちこちで「待った」が掛かっているに違いない。

 しかし2009年については従来とは異なる根拠に基づき、(IT主導でなく)本来の意味での業務プロセスの見直しを進める企業が続出するだろうというのが筆者の予測である。今回、未曾有の世界経済混乱に対応しサバイバルするため、多くの企業が本格的な収益構造改革を急ぎ検討、実施せざるを得ないからである。

コスト削減だけでは不十分

 収益構造改革といってもそのレベルは多様である。不況に臨んだ多くの日本企業が実際に取り組むのは、既存事業、既存ビジネスモデルでの収益構造の見直しである。しかも当初は経費削減や原価低減といった、実施が容易なもので乗り切ろうとするというのが過去の経験則である(図1では最下層のレベル)。だが経費削減だけではインパクトが小さい上、世間の企業が皆これを進めるため、「合成の誤謬(ごびゅう)」により不況を深刻化させるだけに終わり、これに頼った企業のサバイバルは失敗するだろう。

<strong>図1</strong> 様々なレベルの収益構造改革 図1 様々なレベルの収益構造改革

 アルバイト抑制や派遣人員の契約打ち切りは既に始まっているが、さらに正社員の人件費削減に手をつけようとすると、前回の不況時にも陥った人員構成の歪みを再度引き起こすため、「がけっぷち企業」以外では大胆に踏み切れず、自ずから限界がある。QC(品質管理)活動などボトムアップのコスト削減努力および生産性向上策もまたインパクトが比較的小さく、それだけでは競争優位は確保できないことは明白である。

 図1でいえばその1つ上のレベルで、自社の技術開発力に自信のあるメーカーなどが、大型商品を開発し収益を一気に向上させようともくろむことも多いだろう。しかしこの方策は「コケた」時の痛手が大きく、ダウンサイドの可能性は低くない。特に景気の急降下局面では、製品を企画した際のコンセプトと購買時の顧客の値ごろ感との間のギャップが一挙に開くことが往々にしてあるものである。連続してホームランをかっ飛ばすことが至難の業であるが故、この方策だけで大不況を乗り切れるかとの懸念はぬぐえない。

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