息苦しさに悩む社員たち――「ギスギスした職場はなぜ変わらないのか」経営のヒントになる1冊

自分の出世のことしか考えない社員。社員同士の会話もなく連絡手段はすべてメール。困っている人がいても見て見ぬふり。こうしたギスギスした職場に悩みを抱える人は多い。

» 2009年03月28日 09時00分 公開
[ITmedia]

 誰もが黙々とパソコンに向き合う静かな職場。自分の成果だけに関心がある社員。困っている人がいても見て見ぬふり――。

 何かおかしい、楽しくない。そんな居心地の悪い職場が増えている。2008年に「不機嫌な職場」(講談社)という新書が25万部のベストセラーとなり、職場の冷たく不機嫌な雰囲気に対して多くの会社員が悩みを抱えていることが露呈された。しかし、そうした職場を変えるなど、自分にはとてもできないと思う人も多いだろう。どこから手をつければいいのか分からないはずだ。

『ギスギスした職場はなぜ変わらないのか たった一人からでも始められる「職場活性化」の方法』 著者:手塚利男、定価:1365円(税込)、体裁:四六判 240ページ、発行:2009年3月、ナナ・コーポレート・コミュニケーション 『ギスギスした職場はなぜ変わらないのか たった一人からでも始められる「職場活性化」の方法』 著者:手塚利男、定価:1365円(税込)、体裁:四六判 240ページ、発行:2009年3月、ナナ・コーポレート・コミュニケーション

 本書は、風土改革のパイオニアとして有名なスコラ・コンサルトに所属する著者が、たった一人からでも始められる職場活性化の方法を解説する。身の回りの環境を変えながら、それを大きなうねりへと成長させ、最後は職場全体の雰囲気を変える「風土改革」の手法を紹介する。この方法は、約200万人との「対話」から生まれた同社の改革プロセスをベースにしており、誰でも今すぐ始められる内容になっている。

 本書は、個人レベルで職場改革を行うために必要なことを、可能な限り具体的に、方法として記している。通常、風土改革のハウツー本は考え方ばかりに終始して、具体的にどう実践すればいいのか不明瞭なことが多い。本書では、「7つのフレームワーク」や「32のすごい仕掛け」など、どんな立場の人でもすぐに実践できる方法に落とし込んでいる。

 ところで、なぜ職場は簡単に変えられないのだろうか。ポイントは対話づくりである。どれだけ優れた経営戦略や人事制度といった仕組みを導入しても改革がうまくいかないのは、本気で変えようする職場の風土が整っていないからだ。近年、仕組みづくりばかりが注目を集めているが、変革に最も大切なのは、その会社の土台となる風土である。風土を変えるためには、何より社員同士の対話を生み出すことが大切だ。

 100年に1度の大不況の中で、変革を迫られている企業は多い。そうした企業こそ、変革をスムーズに行うための土台づくり、つまり職場風土の変革から始めてほしい。土台が出来ていなければ、根本的な改革は決して行えないのだから。


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