基幹システムの再構築プロジェクトの一環として、ヤクルト本社では業務システムごとにひも付いていた帳票システムを統一し、コスト削減を実現した。
帳票システム大手のウイングアーク テクノロジーズは10月21日、企業のIT部門やエンジニアなどに向けたセミナー「ウイングアーク・フォーラム 2009」を開催した。事例セッションでは、飲料メーカーのヤクルト本社で情報システム部 主事を務める宮崎寿一氏が基幹システムの再構築によるコスト削減の取り組みを紹介した。
同社は、1980年ごろからメインフレームを活用したEDP(電子データ処理システム)会計をはじめ数多くの業務システムを構築してきた。ところが、20年近く運用してきたメインフレームは老朽化が進んだことに加え、大小約30のシステムから成る巨大システムとなり、新たなビジネス環境の変化に迅速に対応できなくなった。その結果、今後数年先も有効に活用できるような、変化に強くユーザー部門の業務効率が向上するシステムが必要だと判断し、2003年にシステムの再構築プロジェクトを開始した。
その過程において、情報システム部門はシステムの管理面などから1つのERP(統合業務パッケージ)で統合できる仕組みを望んだが、オールインワンパッケージの採用は利便性を損ない、結果的に生産性が低下するというユーザー部門の意向を受け、それぞれの業務に適合させたシステムを構築する運びとなった。
ここで課題に上ったのが帳票システムの運用である。各業務ごとに出力システムが存在する場合、それぞれに帳票ツールの購入費用や保守費用が発生するほか、出力管理もシステムごとになり運用が煩雑化してしまう。同社では、帳票の開発からデータの出力まで統一された仕様、一元管理できるシステムを望んでおり、それに応える形で採用されたのがウイングアーク テクノロジーズの帳票基盤ソリューション「Super Visual Formade(SVF)」だった。
採用の理由について宮崎氏は「開発面では豊富な導入実績や柔軟で使いやすい帳票設計を評価した。帳票の出力用件としては、大量のバッチ印刷や各拠点ごとでの出力、リアルタイム出力できる点を重視した」と話す。
効果も表れている。帳票システムの一元化により従来と比べてライセンスや運用などの費用を抑えたほか、ベンダー各社でばらばらだった帳票設計の基準を統一したことで新規システム開発時の作業効率やメンテナンスの効率が向上した。ユーザー部門でのメリットとしては、組織変更に伴う異動などで複数の業務システムを利用する場合でも帳票システムは1つであるため、生産性を下げることなく新たな業務に移行できるという。さらには、SVFと親和性の高いインフォコムの電子帳票システム「NEOSS」などを活用することで、紙の使用を月間1万枚削減した。
「帳票システム導入の当初、実はユーザー部門は従来通り紙で出力していた。IT部門が中心となり社員に働きかけることによって、2年半かけてようやく約6割の出力削減が実現できた」(宮崎氏)
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授