『あたりまえだけどなかなかできない 51歳からのルール』の著者である古川裕倫氏に、企業における人の教育について話してもらった。
ITmediaエグゼクティブでは、連載「ビジネス著者が語るリーダーの仕事術」で経営者JPと連携し、セミナー企画「トークライブ“経営者の条件”」を開催している。第3回は、『あたりまえだけどなかなかできない 51歳からのルール』の著者である古川裕倫氏に、企業における人の教育について話してもらった。古川氏には4月にコラム「大きな器のリーダーを目指そう」を執筆してもらった。
古川氏は1954年生まれ。早稲田大学商学部を卒業し、三井物産に入社後23年間勤務した。その後、2000年にホリプロに入社し、2008年から株式会社多久案の代表に就任した。さまざまなビジネス経験を踏まえて独立し、ほかにも『他社から引き抜かれる社員になれ!―』など多数の本を書いている。
「人間、年をとるとだんだんわがままになる」と古川氏は笑う。理由は「しかってくれる人がいなくなるから、言っても耳を貸さないと思われるから」だという。
そんな古川氏が「51歳」を対象に投げかけ、56歳という古川氏が自らに示すのは「晩節を汚さない」という言葉。企業人として終盤に差し掛かったときに、人生の一区切りをつけるにふさわしい幕引きの準備をすることをすすめている。
具体的なテーマは、部下の教育への考え方だ。どの組織でも、当然ながら50代にもなれば自分よりも下の世代が台頭してくる。この時に、「こそくに仕事や情報を教えない」といった行動をとってしまう人もいると指摘する。確かに、自分の持っている情報を教えれば強みを失ってしまうと考えるのは理解できるという。「部下教育の重要性はわかっているが、自分が部下に抜かれてしまうのはおもしろくない」と思ったり、「部下を教えることの点数(社内評価)が低すぎる」と感じたりすることも背景にある。
だが、やはり「部下に教えない」という方針は長い目で見て得策ではない。結局は、部下を信じてないということになり「そんな人が部下から信頼を集められるわけがない」(同氏)というわけだ。
「仕事がうまくいったときは部下に向かって“きみたちがよく頑張ったから”と言い、失敗すれば“わたしの責任だ”と言えるようにしたい」(同氏)
保身に走った結果として人望がないというのは、まさに晩節を汚すことに等しい。
そうした事態を招かないためには、守りに入るのではなく、あくまでも攻めの姿勢を貫くことが必要であるというのが、古川氏の意見である。
「年を取って開く人としぼむ人に大きく分かれる」という。しぼむ人は例えば「“病気自慢”、年金の話が多い」。一方、開く人の共通点として、勉強していることを挙げる。特に「ロマンを持とうという意識を持っていることがポイント」だ。背景にあるのは、死ぬ前に何かをしたい、という思いであるとしている。
古川氏が指摘する通り、若い世代がこの年代の企業人を見たときに「この人には死ぬまで勝てないかもしれない」と感じる人に会うことがある。そんな人の共通点は、年に関係なく夢を持ち、前向きで努力家であるということ。講演を聞いた後で、「ロマンを持とう」、という言葉には世代を超えて共感が集まるのではないか、とふと考えた。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授