アビームコンサルティングは、製造業向けに在庫の受給を調整するアプリケーションをクラウド形式で提供する新サービスを開始すると発表した。
アビームコンサルティングは10月5日、製造業向けに在庫の受給を調整するアプリケーションをクラウド形式で提供する新サービスを開始すると発表した。企業が固有の業務プロセスを標準化し、クラウド型の仕組みを利用することで、低コストですばやいシステム構築を図れるようにする。(関連記事:クラウドSCMの可能性)
新サービス名は「需給クラウドサービス」。製造、販売、在庫の各部門が横断的に在庫情報を共有することで、需給の可視化を図る。製造業者が利用することで、在庫や廃棄ロスを削減し、需給業務を標準化できる。また、需給業務をクラウドサービス上で実施することで、ハードウェア購入コストなどを削減し、初期費用を通常の数分の一に抑えられるのも利点。中国などアジア市場に新規で進出した企業が、現地で業績不振などに陥った場合に、多額な投資で構築した情報システムだけが残ってしまうといったリスクも回避できる。
サービスを展開するにあたり、ハードウェアなどプラットフォーム環境を提供するIT基盤サービスとして、アビームを傘下におさめているNECの「RIACUBE」を採用する。初期費用の目安は1000万円から、月額の使用料は100万円程度、導入期間を3カ月と見込んでいる。初年度は十数社への導入を目指すとしている。
企業向け情報システムとしての見どころは、サプライチェーンマネジメント(SCM)という製造業者にとって最も重要なシステムをクラウド形式の標準化したアプリケーションで稼働させられるかという点にある。
Gmailをはじめ、電子メールやスケジュール管理などの機能は、仕様がある程度決まっているため標準化しやすい。一方、SCMについては、それぞれの企業に、例えばマスターデータ保持の手法があったり、日次、週次といった需給調整の実行頻度の方針が違っていたりする場合がほとんどであるため、一般的には標準化が難しいといわれる。
逆にいえば、こうした企業固有の事情が大きくかかわるシステムに、クラウドの仕組みがどこまで浸透するかについての試金石にもなる。
同社プロセス&テクノロジー事業部SCMセクター長、プリンシパルの安井正樹氏によると、新サービスについては「最終製品になってからの需給を管理するものであるため、比較的標準化しやすい」と話す。資材調達などを含めた前工程や、組み立てなどの後工程を経て、1つの商品として出来上がったものを管理するため、需給を管理する上で複雑性が少ないという。一般に、資材調達や組み立てといったプロセスでは、膨大な種類の部品や資材が絡むため、標準化は簡単ではない。
アビームの狙いは、比較的単純な分野で顧客にクラウドサービスを利用してもらい、そこから派生する要求をすくい上げ、本業であるコンサルティングサービスを提供することにある。安井氏は「クラウドで実装したアプリケーションの安定稼働を確認した上で、それをオンプレミス型のシステムとして実装するといった対応もしていく」としている。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授