BTOを特徴とするデルモデルだが、時代とともに方法も変化している。
デルモデルといえば、PCを購入するユーザーがさまざまな部品などの構成を自ら決め、その後、すばやく組み立て、発送するというパソコンメーカーDellの優れた製造方法としてよく知られている。
だが、実際にはそのあたりの方法も微妙に変わりつつあるようだ。デルは日本においてオンライン販売の割合を、着実に増やしている。現在、Dell.comの翌日出荷に「デル特急便」の利用率が高まっている。デル特急便とは、顧客からの発注後、商品を翌日に出荷する売り方だ。売れ筋商品などを分析した上で、最も売れる構成のPCをあらかじめ商品化しておく。これにより、最短1営業日の出荷が可能になる。
デルでは通常、詳細なスペック設定をした上で、10〜14日間程度の納期が設定されるのが標準的だった。デル特急便による販売増は、デルにおけるPCの販売方法自体の変化を明確に示している。
デル日本法人社長で、Dell北アジア地域担当社長を務めるジム・メリット氏は「時代の変化とともに、顧客のニーズも変わってきた」と話す。インターネットを使った通信販売が広く普及するにつれ、ユーザーが感覚的に以前ほど納品を待ちきれなくなってきているようだ。ユーザー志向の変化により、ものづくりのやり方も変わるのは当然ではある。
もちろん、「BTOモデルの選択肢もしっかりと提供している」とメリットCEO。製造工程において、部品の共通化、設計のスリム化、構成のパターンなどを実施することで、41%のコストを削減した。「安いイメージを変える」とするDellだが、価格競争力をブラッシュアップする努力は怠っていない。
デルが変わろうとしているのは売り方のモデルだけではなく、自社の情報システムの持ち方にも現れているようだ。同社は、自社内のシステム環境を仮想化の仕組みを使って統合し、サーバを6000台削減、7000台に対して仮想化を実施した。また、1万を超えていたアプリケーションの数を3500程度に削減したという。
これについて、米Dellのロビン・ジョンソンCIOに聞いた。
――自社のサーバ台数の大規模な削減を自らのシステムで実施したことにより、今後“サーバが売れなくなる”ことを自ら証明してしまいませんか?
ジョンソン そう言う気持ちも良くわかります。しかし、Dellが展開するビジネス全体あるいは顧客のビジネス全体から見てみると、ITの効率化を支援することで、Dellにとって新しい道が開けていくことを理解してもらえると思います。
われわれは、新しい収益を確保できると考えています。自社内でも採用していますが、データセンターを統合、合理化、効率化したりするためのサービスやコンサルティングを、サービス部隊が提供できます。顧客企業のIT部門の効率化をお手伝いすることで、顧客はより多くのプロジェクトを手掛けることができるようになり、それが新しい需要を生み出してくれます。そのように、顧客の課題解決に携わることで、デルとしても、より戦略的かつ多面的に顧客を支援できるのです。
また、多くの企業において、IT予算の80%が既存システムの維持・管理に費やされており、それを低減すべき状況にあります。従来必要であった人件費や多様化したアプリケーションの管理費、ライセンス費を低減することで、これまで抑えられていた新しいハードへの投資も期待できるのです。
最後に、Dellは今後も顧客にとって一番正しいと思われるものをご提案する姿勢を崩さないつもりです。x86サーバが、旧態依然のプロプライエタリスタックにとって代わり、より低コストで、ほとんどの作業負荷をこなすことができているという昨今の実情が良い例です。
顧客に対して、自社の儲けを優先した高価なプロプライエタリーアーキテクチャを提案するのではなく、顧客にとってより正しいことを提案している企業は少ないと考えています。Open(標準技術)、Capable(十分な能力)、Affordable(購入しやすい)ソリューションが勝てる時代だと考えています。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授