生き残るためには、今何が必要とされているのか、これから何が必要とされるのか、神経を研ぎ澄まして意識を持つことが必要。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
突然ですが、質問です。
家で片付けをしていたら昔懐かしいレコードが出てきました。それほど売れなかったアーティストですが、熱狂的なファンがついていました。その当時、手に入れるのがなかなか難しく、あらゆる手を尽くして手に入れた記憶があります。レコードは新品と変わらないくらいきれいです。今となっては良い思い出ですが、持っていても仕方ないのでそれを売ろうと思います。より高く売りたいと考えたあなたは、どのように売りますか?
ここでのポイントは
さあどうでしょうか?いろいろ方法があるかと思います。近所の中古ショップに売る、知人に売る、オークションで売る。などなど。
どのような方法でも売れますが、より高く売るためにはどのように考えればいいでしょうか?
まず最初に考えなければいけないのは、誰に売るかです。一番高く買ってくれる人は誰でしょう。まず考えられるのは当時(もしくは今も)熱狂的なファンだと思います。ファンでない人はその価値が分からず、高値では買い取ってくれません。しかしファンであればなかなか手に入らなかったレコードでもあるので、高く買い取ってくれるかもしれません。近所の中古ショップだった場合はどうでしょうか?店長がその価値を知っていれば、高く買い取ってくれるかもしれませんが、この設定ではごく一部のファン受けするものです。ファンに直接売るよりも、その価値を感じずに安く買いたたくかもしれません。また知人に売ろうにも、知人がファンであればいいですが、その価値が分からずただでもいらないというかもしれません。
つまりこの質問に対しての回答例は「レコードの価値を感じて、高く買ってくれる人を探して売る」です。
このような話は何もモノの売買に限ったことではありません。われわれのキャリアについても同様のことがいえます。ニッチな技術を持っていれば、それが欲しい企業にとっては上記のように高く(つまり給与をたくさん払って)でも欲しいといってくれます。逆に、すばらしい技術を持っていたとしても、それができる人が数多くいて採用がしやすかった場合は、高くは買ってくれません。希少性とそこの価値を感じてくれるかが大事なのです。
モノの売買同様に、キャリアも自分の強み(ここでいうレコード)と市場(買いたい人)で決まるといえます。
ついキャリアアップだとかキャリア戦略というと、どんなスキルを身につけるかという視点にいきがちです。しかし市場も一緒に考えないといけないのです。転職市場では強みと市場の掛け合わせで決まる価値を「市場価値」といいます。
ずいぶん昔の話になりますが、かつてはメーカーでワードプロセッサー事業は花形事業でした。誰もが憧れ、誰もが入りたいと思っていました。しかしパソコンが普及するにつれ、ワードプロセッサーの需要はなくなり、その部署の人のキャリアはこれまでのように必要とされなくなってしまいました。
現在のトレンドだけを見てキャリア形成を考えていると、時代の変化に対応できなくなってしまいます。自分のキャリアを描く際、市場を見ながらキャリアを形成していく必要があります。
また仮に自分のキャリアが非常にニッチであったとしても、それを欲しいという市場(企業)もあります。どの市場で自分の強みを生かすのかを考えるのも立派なキャリア戦略といえます。
【まとめ】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授