先ほど「きく」には「聞く」と「聴く」の2つがあると言いましたが、もう1つ「訊く」という言葉があります。これは「尋ねる」に近く、英語ではActive Listeningと言われます。
部下の話を聞くと言っても、部下から何もないのに話をするのがむずかしいこともあるでしょう。その場合に、リーダー自ら質問をしてあげることです。
「最近調子はどうだい?」
「この問題についてはわたしはこう思うけれど、君はどう思う?」
「これまでのリーダーは話し方を心得ていた――これからのリーダーが心得るべきは尋ね方である」といわれています。振り返ると、われわれは職場であまり質問をしていないのではないでしょうか。価値観の異なる相手だからこそ、どう思うのか、何を考えているのか、積極的に質問することが求められています。
Managing By Walking Around(MBWA:歩きまわるマネジメント)、という言葉があります。1980年代にビジネスコンサルタントで、リーダーシップのエキスパートであるTom Peters氏がヒューレット・パッカード社のリーダーたちから学び、広めた考え方です。略して、MBWAといいます。
マネジャーはMBWAを実践することで、社員をよく知ることができ、自分の経験を話したり、心配事を聞いたり、励ましたりできるという考え方です。アメリカの企業でMBWAを実践して成功を収めている経営者がいる一方で、その重要性を知りながらも、MBWAを実践している人はごく少数というデータがあります。
あなたはMBWAを行っているでしょうか?
今回は「話を聴く、質問する」ということに焦点を当てました。次回は、「ソフトとハード」について解説します。
林正愛(りんじょんえ)
BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ、ファイナンシャルプランナー、英検1級、TOEIC955点。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。British Airwaysに入社し、客室乗務員として成田―ロンドン間を乗務。その後中央経済社にて経営、会計関連の書籍の編集に携わった後、日本経済新聞社に入社し、経営、経済関連の書籍の企画および編集を行う。2006年4月に退職し、「眠っている才能を呼び覚ませ」というミッションのもと、優秀な人たちが活躍する場を提供したいという思いから、同年10月にアマプロ株式会社を設立。仕事を通じて培ってきたコミュニケーション力や編集力を生かして、企業の情報発信をサポートするために奔走している。
企業の経営層とのインタビューを数多くこなし、その数は100名以上に達する。その中からリーダーの行動変革に興味を持ち、アメリカでエグセクティブコーチングの第一人者で、GEやフォードなどの社長のコーチングを行ったマーシャル・ゴールドスミス氏にコーチングを学ぶ。現在は経営層のコーチングも行う。コミュニケーションのプロフェッショナルが集まった国際団体、IABC(International Association of Business Communicators) のジャパンチャプターの理事も務める。2012年4月からは慶応義塾大学メディアデザイン研究科でも学ぶ予定。著書『紅茶にあう美味しいイギリスのお菓子』(2000年、アスペクト)。2児の母。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授