鉄道や駅そして周辺の施設が、それ自体で情報社会の一部であり、アクティブで自分の嗜好が明確な高齢者も満足できる環境でなければならないとすれば、鉄道会社としての枠を超えた発想が必要となる。
冨田氏はその一環として、鉄道だけではない移動手段の連携強化を唱える。 「昔でいう路面電車、いまはLRT(Light Rail Transit)というが、そうした交通機関も視野に入れて駅までのアクセス連携を充実させることを考えるべきだ。こうした連携は地域によって対応策が変わるので、それぞれの地域で、みんなで考えていくことだと思う。アクセスも便利で、高齢者も満足できる、新しい発見を提供する空間。それこそが超高齢化社会における情報を活用した地域像ではないだろうか」
JR東日本が運営する会員組織「大人の休日倶楽部」は、65歳以上の男性、60歳以上の女性が参加している。運賃割引などのサービスがあり、140万人以上の会員数を誇る組織だが、65歳以上の会員でみると女性が60%以上を占めるという。アクティブな高齢者層の中心にいるのは女性。そうした背景を考え、駅ナカにショッピングモール、医療モール、カルチャーセンターなどを設置する以外に、世代間で交流できるコミュニティスペースも今後ますます増やしていくという。
「駅ナカに託児所を設置するケースがあるが、ここで高齢者が働くということも世代間交流に役立つのではないかと考えている。高齢者の経験、知識を生かす環境を作ることも鉄道会社の役割の1つになっている」(冨田氏)
2012年10月には、東京駅駅舎が1914年の創建当時の姿で復活する。また、品川の30ヘクタールの車両基地の再開発も始まる。情報発信基地としての駅や周辺地域の再開発と、新しい付加価値を生み出すインフラとしてのICT。これらの取組みには常に超高齢社会を意識した施策が盛り込まれている。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授