新人一人に対して一人の担当者をつける「制度化されたOJT」は、立ち上がりが早くなったりきめ細やかなケアができたりとメリットが多い。しかしそれに頼りきると、意外な副作用もあるという。
3歳の甥っ子の子育てにずっと深くかかわってきた。離乳食も作ったし、お風呂にも入れるし、一緒にかけっこもする。オムツだってお手の物、先日はとうとう2人だけでお出かけまでしてしまった。
ゴールデンウイークや盆暮れなどはわが実家に滞在するのだが、そのとき何かが急に進歩するのを目の当たりにしたことが何度もある。例えば、言葉が進む。食べるのが上手になる。歩くのが上手になる。とにかく、普段よりハイスピードで成長する瞬間があるのだ。
ジジ、ババ、チチ、ハハ、オバと大勢が寄ってたかって彼に関わるため、普段以上の語彙や表現に触れるのだろうし、見守る眼が多いのでいつも以上に果敢なチャレンジもできるのだろう。子育てに多くの人が関わると、子どもは成長するのだなあ、と感じている。
大勢が寄ってたかって育てると成長スピードが増すのは、企業の若手育成にも通じる話だ。
多くの企業で、この10年の間に「OJTの制度化」が進んだ。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)とは仕事を通じて人の成長支援をすることだが、OJTの「制度化」は、若手社員に1対1で専任のOJT担当者を立て、成長支援に当たらせるものを指す。OJT期間は新卒なら3年くらいに設定されていることが多く、企業によってはキャリア採用者や異動者に対しても、OJT担当者をアサインし早期立ち上げを支援するケースもある。
制度化以前のOJTといえば、若手社員の育成は「現場にお任せします」というものだった。20年くらい前はまだ職場に余裕があったので、現場任せでも人は成長したのかもしれない。しかしハイスピードな成長を求められる現代では、一人ひとりに専任のOJT担当者を割り当てた方が早く人を育てられると考えられるようになり、各社でOJTの制度化が始まったわけなのである。
OJTを制度化したことで、若手の立ち上げはスピードアップし、不安は減り、場合によってはメンタル面でのケアにもつながった。休職者や離職者が減ったという例も聞いたことがある。若手に専任のOJT担当者を一人ずつ割り当てることは、とにかくメリットが多い。
しかし、OJTの制度化には1つ副作用がある。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授