関心を引きつけ、説得するのに大切なのは声。聴衆の関心を引き付けられないと感じたら、どんな声で話しているか振り返ってみてほしい。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
徹夜で作ったチャートは完璧。何回もリハーサルをした。プレゼンが始まる。なんか違う。お客さんの一人が顔をしかめる。あくびをかみ殺している人もいる。
「あ、ウケてない。伝わってなさそう。うう、ヤバい……」
嫌な汗が出て、声がうわずる。質問されてもトンチンカンな受け答えしかできない。プレゼンだけではない。会議で仕切れない。チームを仕切れない。なかなか自分の話を聞いてもらえない。
あなたにはこんな経験はありませんか?
以前の私もそうでした。しかし、あるとき生まれ変わりました。大勢のビジネスパーソンを前にしたプレゼンで追いつめられた瞬間、「声のスイッチ」が突然オンになったのです。
「声のスイッチ」が入ってからは、リハーサルで用意していた言葉はそっちのけ。予定していなかったセリフも降りてきて、話すのが楽しくてしかたありません。経験豊富なビジネスパーソンの人たちが、うなずきながら熱心に聞き入ってくれます。話している内容はそんなに違わないのに、です。
「これって私? こんな自分が眠っていたの?」
頭が真っ白になるピンチを救ったのは「声」でした。それまで歌のボイストレーニングで使っていた「横隔膜」が突然目を覚ましたのです。まさに「声のスイッチ」がオンになった瞬間です。
「歌としゃべりの発声は全然関係ない」と勝手に思い込んでいました。しかし、このとき私は「横隔膜」を使えば、プレゼンでも「よく通る低い声」が出ることを発見したのです。「よく通る声」で相手の関心をこちらに引きつけ、「低い声」で言葉に説得力を持たせます。両方そろえば、聞いている人たちに眠いなんて言わせません!
そして、横隔膜は誰でも簡単に鍛えることができます。もし、あなたのメッセージがプレゼンで伝わっていないとしたら、それは、あなたの横隔膜がまだ本気を出してないだけなのかもしれません。
横隔膜は、肺の下にあるドーム型をした呼吸をつかさどる、誰でも持っている「筋肉」です。横隔膜を意識すると、まるでスイッチを入れたように、よく響く声が出るようになります。
横隔膜はピストンのように上下して、呼吸の息の量を調節します。横隔膜が使えるようになると、息をしっかり吸って、しっかり吐くことができるので、それだけ声が「響く」ようになります。声が響かないのは呼吸が浅いからです。声帯を通過する息の量が豊かなら、豊かな声が手に入ります。
でも、声がよくなれば本当にビジネスも成功するのでしょうか?そこで私は実際に企業で「トップセールス」と言われている人に取材をしてみました。トップセールスの人たちは皆さん「よく通る低い声」の持ち主でした。さらに話を聞くと、多くの人がゆっくりと低い声で話すと商談がまとまり、プレゼンでも評判がよいと実感し、意識してゆっくりと低い声で話すようになった、と言います。「電話だけでアポは100%とれる自信がある」と言い切る猛者もいました。
男性だけではありません。女性でも、仕事で上のポジションにいる方の多くは低い声を使っていました。お酒の席でも率先して気取らない雰囲気で話し、部下からも好かれています。そういう人たちは、あえて仕事で意識して低い声をチョイスしているように感じました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授