会議で意見が出ないと嘆く前に、意見を出しやすい環境になっているか。不完全なアイデアをみんなで知恵を出し合い、良いアイデアに育てていく場と捉えてみてはいかがだろうか。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
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私はいろいろな企業で、会議に関する研修を行っていますが、そのなかでも一番多い会議の悩みは、「意見が出てこない……」という相談です。そこで今回は、『出席者から意見がたくさん出て、さらに、いいアイデアが生まれる会議のやりかた』について教えます。
「会議をやっても、ウチの若手、頭使ってないから意見なんて、全然出てこないんだよなぁ〜」と、嘆いている上司は、実はその人が原因で、意見が出てこなくなっている可能性が高いです。
言いがちなのですが、会議では絶対に言ってはいけない言葉があります。それは、「君たち、何か良いアイデアはないかな?」です。なぜならば、こう問いかけられると、部下は心のなかで、次のように思ってビクビクしてしまうのです。
「君たち、何か良いアイデアはないかな?」という発言は、上司としては何の気なしに発言をしていても、部下からすると、「良いアイデア以外は言っちゃいけないんだ。でも、合格点に達するほどのいいアイデアかは自信がないなぁ」と恐れられている、非常にハードルが高い問いかけになってしまっているために、会議が進まないのです。
では、どうすればいいのか? ここで、「99%の会社がやっていない、会議の質を飛躍的に向上させるコツ」を教えます。
それは、「意見を出すだけ出す時間」と「その出てきた意見から、ひとつに絞る時間」に分けて話し合うのです。たいていの会議では、この2つがゴチャ混ぜになっています。すると、どうなってしまうのか? 誰かが、「こんなイベントやったら、お客さまに喜ばれるんじゃないですかね?」と意見を言えば、他の誰かが「君ね、そんなイベントやったらお金いくらかかると思ってるの? もっと考えてから言ってよ」と、迎撃ミサイルのように批判してしまっています。
これを繰り返されると、「下手に意見を言うと、絶対に文句言われるゾ。だったら、言わないほうがマシだ……」と思うようになり、シーンとした会議になるのです。会議は確かに、いいアイデアを募るためにやっています。ただし、簡単にすぐ、良いアイデアが出せるのであれば、どの会社も儲かっています。
会議を開くうえで必要な覚悟は、「一発で良いアイデアが出ることは期待せず、不完全なアイデアを、みんなで知恵を出し合い、良いアイデアに育てていく場なんだ」という、気長に待つ忍耐力と言いますか、一種の諦めの心です。
「では、どうやって、不完全なアイデアを良いアイデアに育てるのか?」。それこそ、先ほど話した、「意見を出すだけ出す時間」と「その出てきた意見から、ひとつに絞る時間」に分けて話し合うことなのです。
まず、「意見を出すだけ出す時間」では、意見の「質」は問いません。とにかく「量」を出させましょう。そのためには先ほど話したとおり、司会者は、「君たち、何か良いアイデアはないかな?」と、ハードルの高い問いかけはいけません。
代わりに、「思いついたことがあれば、遠慮なく言ってほしい」と伝えましょう。当然ですが、こう言った以上、どんな意見でも批判をしてはいけません。
例えば、非現実的な意見が出たときには、「おもしろいアイデアだね!」と、褒めましょう。現実的すぎて、面白味のない意見が出たときには、「手堅いやり方だね。それも、ひとつの手だね」と、褒めましょう。議題と脱線するような意見を言う人にも、「君、この会議の主題は理解しているのかね?」と、場を盛り下げるようなことは言わず、「わっはっは! 思わず笑ってしまった。さて、また話を元に戻そうか」と、やんわりと軌道修正をしましょう。
「意見を出すだけ出す時間」では、とにかく場を盛り上げることを考えて、ドンドン意見を言わせればいいのです。「くだらないアイデア」や「欠点のあるアイデア」でも、それが名案を生み出す種になり、徐々に良いアイデアに育っていくのです。こうして、意見を出させて、「もう、意見が出尽くしたな」という雰囲気になったら、次の「出てきた意見から、ひとつに絞る時間」に移ります。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授