1万人以上の経営者や「仕事をつくり出す」ことに長けた人から聞いた、共通の考え方と行動とは。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
「仕事をつくり出す」技術さえあれば、あなたに降りかかるほとんどの問題を解決できる、といったら言い過ぎでしょうか?
たとえそれが仕事のことではない家庭的なことであっても、人間関係からくる煩わしいことであっても、かなりの確率で「仕事」があなたの問題を解決してくれるはずです。
フリーランスで活動している人やベンチャー企業の経営者などは、仕事を作り出すことイコール死活問題でもあるわけですが、これは企業に属しているビジネスパーソンであっても全く一緒です。
成熟期に入ってしまった日本では、ビジネスパーソンとしての人生は仕事が「できるか」「できないか」で残酷なまでに差がついてしまう時代となりました。
しかも、仕事ができる人、その中でも「仕事をつくり出す」ことができる人に富が集中するという現象も顕著になってきています。これまで1万人以上の経営者や「仕事をつくり出す」ことに長けた人に会って、話を聞いてきましたが、彼ら、彼女たちには共通した考え方と行動の仕方がありました。
それらを共有することによって、あなたの仕事づくりにドライブがかかればと、ここではその中味を紹介していきたいと思います。
かつてリクルートの駆出しの営業マンだった頃、上司から「仕事の報酬は仕事」と諭されたことがありました。原典はどうやら物乞いが釣り人に魚を恵んでくれるように頼んだところ、その釣り人は魚ではなく、釣りの仕方を教え、釣竿を与えたという逸話のようです。要は、魚は食べてしまえばおしまいですが、釣竿があればずっと魚を取り続けられるというのがオチです。
この「魚」と「釣竿」の関係とまったく同じロジックなのが、「仕事の報酬は仕事」という考え方です。誰でも、仕事の報酬は「お金」と考えるのが普通ですし、その高低が肝心なところに違いありません。
しかし、その仕事の報酬が思ったより高かったとしても、たった1回だけの単発に終わってしまう仕事だったらどうでしょう。
単発で終わってしまう仕事というのは、「魚」同様、食べてしまえば終わりみたいなところがあって、一度それを経験すると、一時の報酬より継続的な報酬のほうがどれだけありがたいものなのかが分かってくるはずです。
だから仕事をつくる達人たちは「仕事の報酬は仕事、」つまりは仕事の報酬が次の仕事という考え方に到達するのです。
これは企業内で働いている場合でもフリーランスでも全く一緒で、ともにもっとも難易度が高いのが、まったくの新規で新しい仕事を取ることです。
どのくらいの差があるかというと、新規は既存の取引先からの仕事よりも5倍〜10倍難しいと言われています。
いわゆる継続取引、リピーター取引が8割以上あって、残りの2割を新規で積み重ねるというのが理想的な「事業のセオリー」と言えるでしょう。さらにはこの考え方は個人、個人にもまったく同様に当てはまることでもあります。
いや、むしろ会社や部門より個人により強く反映されるものかもしれません。なぜなら、会社や部門であれば当事者意識というものは多少薄まりますが、個人には逃げ場がありません。一回ぽっきりの単発仕事で終わってしまった責任は自分にあるということが明白ですから。
仕事を出す側の立場を考えるとわ分かりやすくなりますが、発注側はつねに仕事をする側に順番をつけています。端的に表現すれば「使えるヤツ」か「使えないヤツ」かできれいにランキングしているのです。
それに気づかずに「やっつけ仕事」をしてしまうと、一回ぽっきりの仕事になってしまいます。自分にとっては「一回ぽっきり」の仕事ですが、発注側にとっては「満足には足りない」仕事だったのです。
これは逆広告効果みたいなもので、二重の損失を生み出してしまいます、次の仕事が来ないだけでなく、あの人の仕事のクォリティーはよくないよという評判が広がって、他からの仕事も来なくなるという意味で。
一方、継続する仕事というのは、実は営業コストが逓減されるので、利益率が高いというメリットがあります。経営的にはこんなすばらしいことはありません。これが「いい仕事が最強の営業」といわれる所以です。
では、「仕事の報酬は仕事」となるような「仕事」というのは、実際に何を考えて、何をすればいいのでしょうか。
その大切な考え方の中核にあるのは、
です。いい仕事をして、相手の印象に残るというのは、相手の心に自分の足跡を残すことでもあります。
相手は「結果」だけを見ているのではありませんから、プロセスなど取り組む姿勢などにも注意しながら、目の前の仕事に臨むようにしましょう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授