昇進したとたん、めっきり力を発揮できなくなってしまったという皆さん。仕事に対するアプローチの順番を変えてみてはいかがだろうか。
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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
「名選手が名監督になるのは難しい」とは、野球をはじめとした多くのプロスポーツの世界での有名な格言のひとつ。これは、個人として高い業績を上げていたのに、リーダーになり管理職に昇進したとたん、めっきり力を発揮できなくなってしまったという多くの人にも、同じく当てはまるのではないでしょうか。
そんなとき、ぜひとも押さえておきたいのが、「仕事に対するアプローチの順番を変える」というスタンスです。
業績の高い個人は「仮説を立てて⇒その通りに行動し⇒結果を修正する」という順序で仕事を組み立てていくケースが多いかと思いますが、これを管理職が実行してしまうと、「仮説を立てて⇒それで人を動かそうとし⇒思ったようには動いてくれず⇒結果が出る前に途方に暮れる」というパターンにはまってしまうのを、よく見かけます。
今回は、このパターンを抜け出し、名選手が名監督になるために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
まず覚えておきたいのが、「人は、ありのままの自分を思う存分解放する自由を与えられたときに、最も高いパフォーマンスを発揮する」という点です。何も難しいことではありません、その人に制約条件を課さず、特にインセンティブも与えずにいたとき、どんな行動をするか? ということです。
書籍の中で紹介した事例でいくと、同僚だった堀江氏は、いつも世の中のトレンドをつかみたいと感じ、ひたすら「普通じゃ読まないような雑誌」に触れ続けて仮説を考えたがります。辻氏は、とにかく頭の中で思考実験を繰り返し繰り返し行い、そこから解決策や新たなアイデアを考えたがります。
そこで、管理職・マネージャーであるあなたがまず行うべきは、「そもそも一人ひとりをありのままに放っておいたら、何をするんだろう?」という点の理解です。具体的な行動としては、観察量を増やす+自分の解釈を1対1の会話で確かめるのが、最初になります。
観察量を増やす方法は、色々あります。例えば、一人ひとりのメンバーの予定表や、日報がある会社の場合は日報などをチェックし、実際にそのメンバーの活動を見ていくという方法もあれば、社内の共有ファイルなどの更新を確認し、主にその人がどのようなことに時間を割いているかを見定めるという方法もあります。
そして、こうした実際の活動をみながら、1週間に1回、1時間程度の会話をしつつ、上記の観察で自分が感じた「その人の持っているパターン」を深堀りしていきます。そのときのやり取りとしては、下記のような質問が有効でしょう。
特に、自分の仕事にそれほど自信を持っていない人や、口数が少ない人の場合、3つ目の質問が有効です。「自分は特筆言うべきほどのことができていない」と思っていても、他の人との相対比較により、自分が大事にしている観点などが、この質問を通してあらわになることが多いので、ぜひお試しください。
このように、まずは自分から「こうすべきだ」「こんな風に仕事してみたら」という提示は行わずに、それぞれのメンバーにありのままに行動してもらい、それを観察することが、1つ目のポイントとなります。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授