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» 2015年03月25日 08時00分 公開

2020年に向け東京を世界一魅力的な都市に――「NeXTOKYO」(2/2 ページ)

[山下竜大,ITmedia]
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 竹芝では、デジタルコンテンツ産業の集積がテーマだ。慶應義塾大学が事務局となり、コンテンツ・メディア・通信・広告などの企業群が「コンテンツ・イノベーション・プログラム準備会」を立ち上げた。研究開発・情報発信と人材育成の拠点、そして関連する企業・ベンチャーの集積を作ることを目指している。梅澤氏は、「都市の再開発といえば、どのようなハコを作るかが先行しがち。しかし、ハコよりも中身の方がはるかに大事だ。誰がどんなコンテンツを詰めるのか、から開発プランを策定しなければ、魅力的なものは出来上がらない」と話す。

 Creative Cityを考える上で特に重要になるのが、世界から才能を集める仕掛けだ。それぞれの街の活性化策と表裏一体の取り組みとして、国際水準の大学や大学院を設立、あるいは誘致する。海外から教員を招聘して英語で授業を行い、留学生も積極的に受け入れる。これらの教育機関を拠点として国際的なカンファレンスを行い、世界に対する情報発信のハブとしても活用したい。

 「デザインや建築、アート、食、ファッション、メディア・コンテンツなどの分野が候補となる。これらの分野における日本の大学や専門学校は、専門技術を持つ職人を養成する場という色彩が強い。クリエイティブ産業の成長を促進するには、マネジメントや海外展開に関しても人材を養成できるプラットフォームを作ることが必要だ」(梅澤氏)

インタラクティブに街をナビゲートするInformation City

 Information Cityでは、一般的なスマートシティの機能だけでなく、東京横断で効果的な情報提供やナビゲーションの機能を装備したい。これまでの都市は、交通インフラや建築物などのハードウェアと、ショップやレストランなどのコンテンツという、2層の組み合わせで構成されていた。その2つの層の間に、情報という第3のレイヤーを挿入することで、街のナビゲーション機能を圧倒的に改善し、魅力度を向上することができる。

 街のナビゲーション機能とは何か。梅澤氏は、「知らない街に初めて行くときには、駅探と食べログで経路やレストラン情報を収集し、グーグルマップで目的地にたどり着く。しかし、こうした情報の多くは日本語だけで提供されており、海外からの観光客にとっては街を回遊する上でストレスが多い」と話す。

 そこで、空港に到着した訪日観光客のスマートフォンに、様々な機能を連携させた多言語ナビゲーション・アプリをプッシュ配信する。この情報がウェアラブル端末にもつながり、かつウェアラブルで捉えた街なかの文字情報も、端末上で自動翻訳される。このような情報装備を通じて、小さな投資で街の機能性と魅力を大きくアップすることが可能となる。

 Information Cityは、新しい産業・サービスのプラットフォームにもなる。たとえばパーソナルヘルスの領域では、「常時バイタル監視」と呼ばれるサービスが生まれている。ウェアラブル端末が捕捉した心拍、血圧、体温などのバイタルデータを、クラウド上の集中監視センターに送付。自動化された常時監視システムが異状を発見すると、医師が本人や家族にコンタクトして迅速なアクションにつなげる仕組みだ。

 「Fitness Cityの取組みは、シニアを含むランニング人口の増加を意味するが、同時に不測の体調不良に見舞われるケースも増える。そこで、ランナーにこうしたサービスを実装するニーズも大きくなる。また、様々な技術開発が進んだロボット分野でも、介護支援や運動支援の用途で、ロボットスーツの活用が大きく進むだろう」(梅澤氏)

 2020年には、オリンピックだけでなくパラリンピックも実施される。高齢者や障がい者を包摂する社会、そしてそれを可能にする技術進化の象徴として、パラリンピックを活用すべきだ。梅澤氏は、「TOKYO2020は、人体に関する新たなテクノロジーのショーケースになる」と語る。

 モビリティの分野では、タクシーの最適配置、ARを使ったカーナビシステム、リアルタイムのロードプライシングなどが実用化されつつあり、自動運転技術も今後数年で飛躍的に進化する。梅澤氏は、「自動運転関連の市場は、2030年までに10兆円市場になると予測されている。現在は欧州メーカーやグーグルが先行しているが、日本の自動車メーカーも開発を加速し、この重要な市場で勝ち残ってほしい」と話す。

NeXTOKYO特区の法制化も推進

 2020年、東京に到来するビジネスチャンスは幅広い産業分野にまたがる。建設、観光、小売などの需要拡大に加えて、ヘルスケア、モビリティ、セキュリティ、広告・マーケティング、エンターテイメントなど様々な分野で、新市場の創造が期待できる。NeXTOKYOプロジェクトでは、こうしたビジネスチャンスを後押しするために、国家戦略特区の枠組みで提案も行ってきた。

 梅澤氏は、「クリエイティブ人材の海外からの誘致や、街なかのオープンスペースや道路・公園・水際の利用開放、ダンス規制の撤廃、民泊の仕組み整備などを提案してきた。また、自動走行特区や市街地レース開催なども特区メニューに加えるべく検討中。これらの内、いくつかの項目は2015年春には法制化される予定だ」と締めくくった。

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