就労スタイルの多様化したビジネスシーンでは、誰とでも、すぐに協力体制に入ることができ、心地よい就労環境をもたらすことのできる人が好まれる。
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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
リーダーに求める資質やコミュニケーションに、革命とも呼べる劇的な心理変化が、静かに始まりつつあります。
2017年春に新卒入社となるメンバーが生まれた頃、1995年といえば、マイクロソフトがWindows 95の日本語版を発売した年。来春からは、いよいよITチルドレンたちが、ビジネスシーンに躍り出てくるのです。
彼らの幼児期はITバブルに当たります。IT系メディアの躍進と楽しさ、豊かさを肌で感じて育ってきた、次世代の感性を持つ若者たちであり、まさに時代を牽引するに相応しい、次のような特徴があります。
・多くの若者は、既に主要なビジネスソフトウェアを使いこなすことができ、マルチタスク世代。イヤホンで音楽を聴きながら、PC上に流れてくるニュースを閲覧しつつ、パワーポイントを作成し、同時に横の携帯では、SNSでコミュニケーションも行う。このような能力が当たり前のように備わっています。
・ゲーミフィケーションに強い
ゲーム業界のノウハウを各種サービスや労務管理などに応用し、顧客満足度や生産性の向上を実現する「ゲーミフィケーション」。このような新しい流れも、すぐに自分のものとして活用する力をもっています。
・ボーダーレス
仕事とプライベートの境界が薄く、カフェや家に持ち帰って仕事をするのを好んだり、上司へも、SNSを使って即座に返信をしたり、仕事も遊びも等しく自由に捉え、工夫する力に長けています。
これからは、新しい感性と力を持った若者たちをどんどん迎えていくわけですが、指導、指示という面では、難しいところもあります。良い意味で野心が無く、透明性と論理性を求め、理由を知りたがる彼らに、「いいからやっておけ」は通用しないからです。
少子高齢化による、労働力不足が見込まれるということもあり、転職市場も、IT・エンジニア系、設備・技術者系、などの職種を筆頭に、売り手市場が続いています。転職へのハードルが低くなり、終身雇用にこだわらず、「好きな時間に好きな仕事ができる」ということを優先に考える人も増えています。年下の上司、年上の部下、リーダー以外全てフラットな関係というチームも増えていくでしょう。
このように、就労スタイルの多様化したビジネスシーンでは、誰とでも、すぐに協力体制に入ることができ、心地よい就労環境をもたらすことのできる人が好まれます。次世代のビジネスシーンで主流となっていくのは、「共感型リーダーシップ」であり、欠かせない力は、「対話力」なのです。
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明治学院大学 経済学部准教授