気を使いすぎず、「無理せず、ゆっくり慣らそう」というメッセージを伝えよう。
就労移行支援事業所「シゴトライ」施設長の南雲です。前回は、部下のメンタルダウンのサインや対処法について取り上げました。
早期に部下のメンタルダウンの兆候を見つけ、フォローすることで休職や退職を回避できる場合もありますが、残念ながら休職や退職に至る場合もあります。また、メンタルダウンにより休職した人の42.3%が、休職中もしくは復職後に退職しているとの調査結果(独立行政法人「労働政策研究・研修機構」平成26年調査)もあります。
さらには、復職したとしても、半数程度の人が1、2カ月後に再び休職してしまうとも言われており、管理職にとっては復職後のフォローは難しさを感じるところではないでしょうか。
そこで今回は、復職前後の部下との関わり方について考えていきます。
休職には数週間から数カ月、年単位のものもあり、それぞれ症状や状況も違いますが、どの場合でも復職に向けて十分に準備する必要があります。復職準備段階で、休職者本人と関わるのは主に産業医や人事ですが、どのような準備をする必要があるかは、管理職として把握し、人事や産業医が認識していなければ下記について提案してみてはいかがでしょうか。
お勧めをしたい復職準備としては、以下があります。
・休職理由の振り返り
体調が崩れ、休職に至った理由や自分の考え方などを振り返り、再び体調を悪化させないように自分でできること、周囲に配慮をお願いすることを明確にします。
リワークプログラム(※)を利用し、専門スタッフとともに振り返りができれば、さまざまな角度から自分を見つめられるのでより効果的です。
休職理由を振り返っておくと、復職前に面談を実施した場合にも状況整理ができているため、復職後の働き方や再び体調が悪化した場合の対応を具体的に話し合っておくことができ、管理職としても復職後の見通しが立てやすくなります。
・通勤の訓練
休職期間が長くなればなるほど、体力も落ちています。
通勤は想像以上に体力を消耗するものです。会社の最寄り駅まで、通勤時間に合わせて電車に乗り、会社近くの図書館などで勤務時間と同じ時間を過ごして帰宅するなど、復職前に体を慣らすことも大切です。会社の規定が許すならば、仕事はせずに、会社に来て本を読む、メールだけに目を通すなど、職場に慣れるということも、復職前にできるとよいでしょう。
・キャリアプラン
復職者の復帰後のキャリアプランについては、各社の人事制度にもよりますが、可能であれば事前に人事と管理者で共通認識を持ち、本人にも様子をみながら共有すると先の見通しがつき、安心して目の前の仕事に対応できるのではないでしょうか。
部下が職場復帰するのはとても喜ばしいことですが、いざ復職となると「どう接すればよいのか?」と、悩む管理職は多いのではないでしょうか。復職のタイミングで自部門に配属される場合であればなおさらです。
無理はさせられませんが、一方で腫れ物にさわるような態度も避けなければなりません。気を使いすぎるのはかえって本人を苦しめてしまうからです。復職後の接し方のポイントとしては、まず「無理せず、ゆっくり慣らそう」というメッセージを伝えます。本人は「迷惑を掛けてしまったから頑張らなくては」と力が入っていたり、これまでどおり仕事ができるか不安を感じていたりします。体を慣らすことに集中するよう伝え、焦らせないようにしましょう。そして周囲も気を使いすぎないことです。休職明けだからといって何でも手助けするのは本人の自信喪失につながりかねません。適度な声かけと見守りを意識し、困っていることに関してのみサポートしましょう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授