若手社員には「学ぶ技術」と「働く技術」を学ばせようビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2017年12月14日 07時14分 公開
[前川孝雄ITmedia]
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(4)プレゼンテーションの技術(UPQ代表取締役CEO 中澤優子氏)

 相手の心をいかにつかめるか、どう引き込み、話を聞いてもらえるか、どれだけインパクトを残せるかが大事。プレゼンする商品や内容にどれだけ自分の「思い」がこもっているかが伝わることも重要。一方的に話さず、「相手と話をシェアする」ことを意識し、相手の反応を見ながら内容を工夫する。話のポイントを絞り、相手を思いやり、期待に応えられる、分かりやすいストーリーで話すこと。

(5)自分の考えを伝える技術(ノンフィクション作家 山根一眞氏)

 情報の整理は図解が分かりやすく、発見も多い。人に伝える(伝わる)には、オリジナリティーのある、まだ語られていない話、誰も知らないことを伝えるのが効果的。また、読む人の立場に立ち、読むのが苦痛でない構成で書くこと。相手が望んでいると思われることを簡潔に書く。内容を削ぎ落しながら、いかに伝えたい内容がしっかり伝わるかが勝負。「伝える」ではなく「伝わる」がゴール。

(6)問題を発見、解決する技術(北海道夕張市長 鈴木直道氏)

 問題発見のためには、現状を注意深く観察し、それを「自分ごと化」し、「あるべき姿」を考えること。問題解決には「人を巻き込む」リーダーシップが必要。それには、まず皆がワクワクするビジョンを描き、メンバー一人一人の強みや持ち味を生かした役割を整理し、信じて任せること。そして「小さな成功体験」を重ね、皆で達成感を共有する。このリーダーシップは、役職者ではない若手でも実行できるもの。

若手を育てるリーダー自身が学びながら働き、自律的なキャリアを築くことが大切

 いかがでしょうか。これらの「学ぶ技術、働く技術」は、仕事を上手に運ぶための単なる手段ではなく、社員が顧客やチームメンバーとのよきコミュニケーションを築きながら、顧客満足や自らの「働きがい」の向上を目指すための「一生もの」の技術なのです。

 そして、若手社員だけではなく、中堅社員や管理職、また今後定年延長や第2の仕事人生への円滑移行が必要なシニア層にとっても、大事なものなのです。上記6つのタイトルを概観すると、ビジネスパーソンが仕事のノウハウを学び、磨き直すための実用書の主なテーマと重なる、普遍的なものであることに気が付くでしょう。

 自律的なキャリアを構築し続ける力や技術は、今後、あらゆる世代に求められます。かつて叫ばれた「生涯学習社会」が、新たな時代のもとで改めてクローズアップされてきたともいえるでしょう。

 従って、若手を育てる立場のリーダー自身が、この「学ぶ技術、働く技術」に理解と関心を持ち、若手との「共育」(共に学び育つ)の姿勢で、自らも磨いていくことが大切ではないでしょうか。

 そうした観点で、ぜひ経営者やリーダーの皆さんが本書を参照し、また若手社員にも勧めてもらい、働く全ての人たちが成長し続けることを願っています。

著者プロフィール:前川孝雄

兵庫県明石市出身。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール(現早稲田大学 大学院経営管理研究科)卒業。

リクルートで「リクナビ」「ケイコとマナブ」などの編集長を歴任後、2008年に「人を大切に育て活かす社会づくりへの貢献」を志して、人材育成コンサルティングなどを行うFeelWorksを設立。これまで、独自に開発した「上司力研修」「人を活かす経営者ゼミ」などでの管理職や経営者の意識改革、「キャリアコンパス研修」「働く人のルール講座」などでの若手育成を支援し、300社以上の「人が育つ現場」づくりを支援。2011年から青山学院大学でも教べんを執る。2017年には初のグループ企業となる働きがい創造研究所を設立。現場視点のダイバーシティ推進、リーダーシップ開発、キャリア論に詳しい。

主な著書に『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『上司の9割は部下の成長に無関心−「人が育つ現場」を取り戻す処方箋』(PHP研究所)、『この1冊でポイントがわかる ダイバーシティの教科書』(総合法令出版)など多数。最新刊は『5人のプロに聞いた! 一生モノの学ぶ技術・働く技術』(有斐閣)


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