世界のことについて、今、どれだけ関心があるだろうか。国連だ、グローバルだ、SDGsだといっても、自分とは遠いところの何かだと感じていないだろうか。
世界のことについて、今、どれだけ関心があるだろうか。国連だ、グローバルだ、SDGsだといっても、自分とは遠いところの何かだと感じている方もいるかもしれない。
『2030年の世界地図帳』(落合陽一著)は、そんな意識をひっくり返し、世界と自分の位置付けを、もっと近くて能動的なものにしてくれるものだった。
例えば、世界と日本では認識も大きく違う。
日本ではこれから少子高齢化で人口が少なくなるが、アフリカやインドを中心に今後の世界の人口は増えていく(※1)。日本国内だけを見れば悲観的にも思えるが、世界全体を見ていけば、そのなかで日本にできることもあるのではないかと感じさせてくれる。
また、貧困ひとつとっても、アフリカと日本では「貧困」の質が違う。そしてアフリカでの貧困は少しずつ改善する一方(※2)、一部地域では、携帯電話を利用したモバイルマネーが普及していたり(※3)、電子政府の取り組みをする国も出てきている(※4)。リープフロッグといわれるが、地域に根づいた新しいテクノロジーが発展しはじめている。
中国も、アフリカも、インドも、アメリカも、ヨーロッパも、世界は急速に変わっている。それぞれの立ち位置が分かり、ようやく理解できることもある。全体を俯瞰してみて、やっと現在の日本の立ち位置も、自分たちがとるべき行動も見えてくるのではないかと感じた。
本書ではSDGsの枠組みを使い、現在の課題を、整理している。
SDGsは、「持続可能な開発目標」と訳され、世界で取り組むべき共通目標として、17のゴールと169のターゲットを掲げている。
この流れは、ビジネスの世界でも見られる。例えば、世界最大の資産運用会社ブラックロックが「環境・社会・企業統治」に配慮する企業に投資を行う「ESG投資」に賛同したことも話題になった(※5)。また、GoogleやAmazonといったGAFAMと呼ばれるような企業も環境に配慮した施策を行っている(※6)。
以前、企業の担当者の方から、SDGsは広すぎて、どのように取り組めばよいのか分からないと聞いたことがあった。一方で、そのターゲットまで見ればこれだけさまざまな項目があるのだから、SDGsを起点に、あらためて自分と世界・社会との関連性を見つけ出し、そこに自らが貢献できることを見つけることもできるのだと思う。
結局、目の前のことを見ているだけでは変化を起こすことは難しい。しかし、一度俯瞰して、自分の立ち位置と世界のつながりを見直すことで、次にやるべきことが見えてくる。知識を学ぶだけに終わらない、新しい視点が得られる1冊であると思う。
※1:国連「世界人口推計」2019
※2:世界銀行「PovcalNet」
※3:外務省「TICAD報告書2018」
※4:総務省「ルワンダ共和国」
※5:ブラックロック・ジャパン株式会社「サステナブル投資」
※6:グーグル「持続可能性」
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明治学院大学 経済学部准教授