4D Value Cycleは、Discover(目利き)、Design(企画)、Develop(つくり)、Drive(活用)の頭文字「D」で始まる4つの要素を回すことで、新たな価値を創出するという考え方である。4D Value Cycleを回し続けていくためには、未来予測力、新技術目利き力、戦略企画力、業務改革推進力の4つの力が求められる。
4D Value Cycleを通して、NTTデータが取り組んでいるDXの活動の一つが、「デジタル店舗ソリューション」である。この取り組みでは、小売業界のEC売上が増加している現在の状況での、リアル店舗の新たな役割に着眼した。「リアル店舗を“新たな顧客体験を提供する場”にすることで小売業界のお客さまに貢献したい」という思いから、「店員もいない」「在庫もない」、アバター、カメラ、デジタルサイネージを使ったデジタル店舗ソリューションを考案。
遠隔での接客を実現するソリューションや、AI技術を採用した顔認識エンジンを持っているベンチャー企業と共創して実現した。さらに、実際にお客さまとともに、このデジタル店舗ソリューションを利用したポップアップ店を出店することで、店舗を訪れたお客さまへのインタビューを通じて、デジタルな接客が納得した買い物につながることが分かった。現在もデジタルを活用したリアル店舗のあるべき姿を継続して探っている。
Value Cycleを考案した約10年前は、“4D Value Cycle”ではなく “3D Value Cycle”と呼ばれ、Designing(上流)、Developing(つくり)、Driving(活用)の3つの要素から成り立っていた。しかし、“VUCA”と呼ばれる時代においては、未来の潮流を読み解きながら率先して動くことが必要だと実感し、4つ目のDであるDiscover(目利き)を追加して“4D Value Cycle”として力を入れて取り組んでいる。
一方、社会・業界の激しい変化や、技術の進化がDiscoverを難しくしている。NTTデータでは、「NTT DATA Technology Foresight」として、最新のテクノロジーが近未来の社会やビジネスに与える影響を取りまとめて発信している。最新の「NTT DATA Technology Foresight 2020(※1)」は、技術活用の方向性を示す3つの「情報社会トレンド」と、技術の潮流を示す8つの「技術トレンド」で構成されている。NTT DATA Technology Foresightが「Discover」の参考になることを期待する。
※1 “NTT DATA Technology Foresight 2020”
また、技術を扱うのは“人財”であり、人財育成の取り組みも重要である。特に、日本全体の圧倒的なデジタル人財の不足に対し、どう手を打つかを考えることが必要である。プロジェクトの成功と人財の成長の二つを同時に成しえて、初めてデジタル変革が成功したといえる。
NTTデータでは、デジタル人財を、デジタルの技術的な知識の深さ、そしてビジネスへの関わりによって3つに分類している。研究開発を先導する「デジタルコア人財」、高度なデジタルの専門知識を有する「デジタル専門人財」、ビジネスを熟知しデジタル技術を活用できる「デジタル活用人財」である。
「デジタル活用人財」と「デジタル専門人財」を育成するためのリスキルの取組として、現在力を入れているのが社内留職制度(「Digital Acceleration Program」)という制度である。
また、デジタル変革を推進するためには、一人一人の力を高めることだけではなく、組織の力を高めることも大事である。
本間氏は、「これから、DTC構想が実現に向けて動き出します。また2020年の春には、5Gサービスも開始され、ますますリアルとバーチャルの融合が進んだ世界へと変化していきます。NTTデータでは、これからも未来の世界を見据え、Trusted Global Innovatorとして、社会課題の解決や、お客さまの事業の発展に貢献していきます」と締めくくった
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授