第6回(最終回):3つの特別な動きでスモール・ハピネスを味わう「スモール・ハピネス」で仕事も生活もポジティブになる?!(1/2 ページ)

普段の生活や仕事の中で、体を動かす際にちょっとした工夫を施すことでスモール・ハピネスを味わえる。

» 2020年09月23日 07時02分 公開

 本コラムでは、日々、スモール・ハピネスを味わうことを追及している。その際、(1)それまで関係のなかった何かと何かを「つなぐ」、(2)つながったことで「やった!」というポジティブな感覚が生まれる、(3)そういう感覚を「スモール・ハピネス」と認定する、という3ステップを用いる。(図1)

図1:スモール・ハピネス・メソッド

 今回は、スモール・ハピネスを生み出す「体の動かし方(スモール・ハピネス・ムーブメント)」について話したい。

 普段の生活や仕事の中で、体を動かす際にちょっとした工夫を施すことでスモール・ハピネスを味わえる。体を動かすといっても飛んだり跳ねたりではなくて、椅子に座ったままできるような動きや、歩きながらの動きである。そのような誰でも行えるような動きに、普通はほとんど行われていないような「特別な動き方」をいれることで、スモール・ハピネスを得ていく。

 「特別な動き方」は3つある。3つ合わせてスモール・ハピネス・ムーブメントと呼んでいるが、それは、座っているときでも、立っているときでも、歩いているときでもできる。以下では椅子に座ったまま体を左右にひねる動きを取り上げて説明する。「ひねる」は、日常的な動きの中で頻繁に使われていて、しかも、特別な動き方の効果(スモール・ハピネス)を体感しやすいからである。

【音声あり】以下の説明と合わせて、キャメルさんが実演しているYouTube動画を参照してください。

(1)第1の「特別な動き方」は「自分の速度」で動くことである。

 人にはそれぞれ最も自然な動きの速度がある。その速度で動くとそれだけで気持ちが落ち着く。ただ、自分の最適速度に気付いている人は意外に少ない。

 あなたが椅子に座っているとしよう。背筋は軽く伸ばして、真っすぐ前をみる。手は手の平を下にして太ももの上にそっとおく。息を軽く吸って、吐きながら上半身を右に同じ速度でゆっくりひねっていく。視線も体の動きに合わせてそのまま等速に水平な弧を描く。苦しくない程度でぎりぎりまでひねったら一瞬止めて息を軽く吸って、吐きながらゆっくり同じ速度で戻してくる。正面まで戻ったら一瞬止めて息を軽く吸って、吐きながら今度は左にひねる。同じ要領で、ひねりきったら正面に戻す。

 同じ速度で(等速で)と述べたが、それを自分固有の速度とすることがポイントだ。自分固有の速度とは、自分が気持ちの良い速度であればよい。ただ、気持ちがよいとか自分固有の速度とかいわれてもぴんとこないかもしれない。そういう場合は、まずはできるだけゆっくりスローモーションで動かすとよい。そこから少しだけ速めたり、遅くしたりしてみて、気持ちいいなという速度をみつけていく。速度は人それぞれであるが、多くの場合、普段の動きが早すぎるので、いったんゆっくりした動きから始めて気持ちの良い速度(固有の速度)をみつけるとよいだろう。

 固有の速度をみつける一つのヒントは呼吸だ。上記の説明でひねるときに息を吐いているが、吐く速度を普段息を吐く速度にしてその速度に合わせて体をひねっていく。ただ、普段の息の吐き方も早すぎる人が多いので、少し落ち着いてゆっくり息を吐いて、それに体をひねる速度を合わせるとよいだろう。

 ただし、固有の速度に厳密な正解があるわけではないし、そのときの状態によっても変わるので、だいたいこのくらいというのでよい。そのだいたいの速度で等速を保ってひねることが大切だ。

 キャメルの場合、自分の固有速度を意識し始めたのはヨガを始めて20年くらいたってからだ(ヨガは40年やっている)。しかし、それよりずっと前の小学生のころ、野球のバッティングで、あるとき、わざとすごくゆっくり振ってみたところ、ボールに当たると意外に遠くまで飛ぶことが分かった。

 そのとき以来、動きには自分に固有の速度があるかもしれないとうすうす思っていた。ただ、速度を一定に保つことや呼吸をそれに合わせることの重要性に明確に気付いたのはヨガを通じてである。今では、野球とかヨガとかいった特別なことに限らず、日常的な場面で自分に合った等速を保って動けばよいことが分かったので、日常的な場面の代表として椅子に座ることを例にとって説明した次第である。

 ところで、自分固有の速度で動くと何がよいのだろうか? 一言でいえば、自分の速度で動くことで自分のペースに入ることができる点だ。自分本来のペースで動いていると本来の自分になる。

 仕事や生活の中ではさまざまなことに遭遇するから自分のペースを乱されることも多いだろう。そういう調子が狂ったときに、椅子に座って自分の速度で体を左右にひねるとそれだけでペースを取り戻すことができる。この間わずか30秒ほどだ。

 ただし、一気にそれで最高の気分になれると期待するのではなくて、狂った調子がちょっとましになったという差分を味わおう。不調が少しでも緩和されること(マイナスが減ること)に敏感になろう。調子が特に悪くない普通のときにも、等速ひねり運動を試してみて、今度はちょっとプラスのハッピイになることを味わおう。

 自分の等速で体をひねることによって、ちょっとマイナスが減ったり、ちょっとプラスになったりすることに気付けばしめたものだ。いずれも、スモール・ハピネスを感じとるハピネス感度を高めてスモール・ハピネスを味わうことにつながっている。

(2)第2の特別な動き方は「力を抜いた」動きである。

 (1)のひねる動きで説明すると、ひねり始める前に、つまり椅子に座って正面を向いた状態で意識的に力を抜く。力をどんどん抜いていくのだが、抜きすぎると姿勢が保てなくなってだらっと崩れる。そこから少しだけ力を入れたり抜いたりして、最小限の力で姿勢が保てるようなバランスをみつける。といっても厳密である必要はなくて力がだいたい抜けていればよい。

 次に、その力が抜けた状態のままで、(1)の上半身をひねる動きを行う。右にひねり、正面に戻し、左にひねり、正面に戻す。その間の呼吸は(1)で述べた通りだ。

 少し慣れてきたら、力の抜き方の質を高めていく。椅子に座った状態や体をひねっている際に、首や肩や腕や指や目や口など、個別の部位に注意を向けて力の抜けていないところを徹底的に洗い出す。余分な力の入った箇所をみつけたらそこの力を抜く。

 力を抜くというのがよく分からない人は、例えば、肩を少しあげながら肩にわざと力を入れてそのまま体をひねりながら、その途中で、わざと入れた力を、抜いてみる。わざと入れた力だからその力は抜きやすいはずだ。そして、わざと力を入れていたときと比べて、力を抜いたときに楽になって少し軽くなることを確認する。

 いずれにしても、体の力を抜くことで軽くなる体感を得ることがポイントだ。

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