ネタバレ厳禁! 映画レビューの書き方からビジネスコミュニケーションのヒントを学ぶITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

» 2021年03月23日 07時03分 公開
[山下竜大ITmedia]
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 さらに、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のトリビアは、シリーズ累計売上1億2000万部を突破したベストセラーコミックのアニメ化作品であること、映画の原作部分はコミックス全23巻 中の7巻〜8巻にあたること、公開101日で動員2667万人、興行収入365億円を突破し、歴代の興行収入ランキング1位を記録したこと、などがある。

ポイントを端的に表現する文章術を身につける

 ログライン、魅力のポイント、トリビアという3つのポイントをピックアップしたら、これをもとに、独自の「レビュー」としてまとめてみる。実際にレビューをまとめるときには、まずはどのような文章を目指すか、方向性を決めることが重要になる。その方向性により、アプローチが違ってくる。

 松村氏は、「映画を見て抱いた熱い思いを伝えたいという場合、映画を見終わったときの思いをエモーショナルにまとめましょう。この場合、形式よりも勢いを重視してもいいと思います。自分は、この作品のどこにひかれたのか、自分だけの個人的経験や感情に触れることで強いレビューになります」と話す。

 作品に関する考察を述べたい場合、ログラインや登場するキャラクターについて分かりやすく説明し、トリビアやデータを用いながら、順序立てて考察を述べる必要がある。その考察について納得させるための、論理の飛躍のない展開を心掛ける。ストーリーや作品の内容を、多くの人に知らせたい場合、ログラインに肉づけをして、映画の内容を紹介する。

 あまり内容を紹介しすぎると、これから映画を見る人の楽しみを奪ってしまう可能性もあるので注意が必要だ。しかしアクション映画などにおいては、登場人物の行動や展開、こんな武器で、こう戦ったといった内容を詳しく紹介することで、それなら見てみたいと思わせることもできる。ただし、ネタバレには十分に注意することが重要になる。

 「日記とは違う、人に読んでもらうための文章であることを考え、ダラダラ書くのではなく、ポイントをまとめて、読みやすい文章にすることを心掛けてください。テーマを伝えるのに必要のない要素は、思い切って削除するのも有効な手段です。文章の中に、何か1つだけでもいいので、自分だけのポイントが埋め込まれると、人を引き付けるあなた独自のレビューになります」(松村氏)

 レビューを公開するメディアごとの書き分けのポイントとしては、Twitterのような短文メディアでは、少ない文字数で印象に残る表現を。また、FacebookやNote、ブログなどでは、文字数に制限がない分、自由にレビューを書くことができるので、文章の構成が重要。この文章で何を伝えたいのかを意識した構成でまとめることが必要になる。

「複数の要素を効果的に組み合わせて、いかに要点を伝えるかが、文章を書くうえでは重要になります。映画レビューを書くことで、そのトレーニングをしてみてください。このポイント術は文章を書く際に、日常的に応用することができます。」(松村氏)

映画レビューの書き方はビジネスにも役立つはず

 事前に提出された映画のレビューの講評について松村氏は、次のように話す。「全体的に添削の必要がないくらいに素晴らしいレビューばかりでしたが、ストーリーやトリビアの紹介を中心に、そつなくまとめている印象を受けました。会社の報告書ではないので、絶対のルールはありません。あなただからこそ感じたあなたなりのポイントを、もっと自分らしく表現してみてください」

 「余談ですが、映画監督や出演者、スタッフなどは、自分が関わった作品のレビューを読んでいる人も多いそうです。皆さんの書いたレビューが、作品の関係者の活力になり、次の名作を生み出す可能性があると思うとわくわくしますね」(松村氏)。

 最後に松村氏は、「映画レビューを書くという経験をとおして、自分の思考や気持ちを言葉にしてみてください。思考や気持ちを分かりやすく表現するという経験は、仕事で部下や取引先とのコミュニケーションにも、きっと役立つはずです。あなたならではのレビューを、ぜひ書いてみてください」と講演を終えた。

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