ビジネスリーダーこそ、政治の世界に必要な人材です!ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

確かにビジネスは面白い。しかし、それと同等以上に政治やまちづくりはエキサイティングで、やりがいに満ちている。

» 2022年07月14日 07時04分 公開
[樫野孝人ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


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『リクルートOBのすごいまちづくり 議員という仕事』

 この度、リクルートOB10人の執筆による『議員という仕事リクルートOBのすごいまちづくり』を編集・刊行しました。

 好評だった前2作「リクルートOBのすごいまちづくり」「リクルートOBのすごいまちづくり2」は、民間の立場で地方創生に汗を流しているリクルートOBの取組みやノウハウをまとめた書籍ですが、本作はビジネスを卒業し、地方議員になって奮闘している9人と副市長になって活躍した1人の実話です。

ビジネスはアプリ、政治はOS

 確かにビジネスは面白いです。でも、それと同等以上に政治やまちづくりはエキサイティングで、やりがいに満ちています。

 法律や条例をつくり、社会を前に進めるドライバーとなるのが政治の醍醐味(だいごみ)。

 ビジネス最前線の人ならルールメーカーが重要なのは百も承知のはず。そのルールメークするのがまさしく政治の仕事です。

結局、決められないし、動かせないんじゃないの?

 国政を見ていて嫌になることが多いですよね。

 与党じゃないと権限が無いし、与党でも派閥の力学でコトが決まるし、そのためには違う意見も飲み込まないといけないから結局まぁるい無難な政策しか出てこない。国政は議院内閣制なので、与党政党が内閣を組み、執行するのでそうなってしまいますが、実は地方議会はちょっと違います。

市長や知事は、社長のような仕事

 地方議会は二元代表制なので、立法府を構成する議員と、行政の長をそれぞれ住民の直接選挙で選ぶ制度で、議院内閣制とは対照的な概念です。二元代表制では、議員は法律や予算などを審議・決定する権限を持ちますが、執行は知事や市長が責任をもつため、立法権と行政権の分離を徹底できる利点があるのです。例えるなら、市長は執行役員社長、地方議員と議会は取締役のような存在、議会は取締役会であり、株主総会なのです。150万人都市なら予算1兆7000億円の具体的な使途を何にどう使うかを決め、住民福祉の向上を目指していくわけです。この仕事が面白くないわけがありません。

でも、選挙ってお金かかるでしょ?

 本書で紹介した横内市議が選挙費用15万円で当選したように、やり方や費用はさまざま。準備期間も数カ月という短期組もいます。要するに、ビジネスで培ったスキルやノウハウを駆使すれば、恐るるに足らず。意外とエントリーが少なく、参入の仕方がブラックボックスになっているので、ライバルが少ないのが現実なのです。

 とはいえ、家族の反対や身辺整理など乗り越えなければならない壁も存在しますが。

Jリーグ第5代チェアマンの村井満さんいわく

 帯の推薦文で、 Jリーグ第5代チェアマンの村井満さんはこう書いています。

 「不人気職種ランキング最下位級の「議員」。しかし、その仕事の実態や選挙のやり方を意外と僕らは知らない。なぜ、彼らはそんな議員にわざわざなったのか、何が彼女たちを熱くするのか、その本音を多くの人に知ってもらいたい」

 そうなんです。元リクルートの皆さんが高給を捨ててまで、なぜ議員というキャリアを選んだのか? 本書を読んでもらえれば、その真実が分かると思います。

ビジネス感覚が行政には必要

 官民連携の必要性が声高に叫ばれていますが、ビジネスリーダーの政界入りがこれからの政治を変えていくキーファクターであることは間違いありません。

 2023年の統一地方選挙まで、十分時間はあります。

 自身のセカンドキャリアとして、一緒に働くパートナーとして、一度考えてもらえるとうれしいです。

地方議員になって奮闘している9人と副市長になって活躍した1人

  • 松本光博 杉並区議会議員:支援を要する『人』がいるんじゃない。支援を要する『時』が誰にでもあるだけ」〜不妊治療の経験が私を政治の道へと駆り立てるまで〜
  • 西村直子 品川区議会議員:生かされた命で区議として働く〜あたり前に働き、子育てができる社会を創る〜
  • 浅山誠一 田辺市議会議員:大好きな地元に貢献するという生き方〜職業選択の1つとして地方議員はありです!〜 
  • 小松大祐 東京都議会議員:首都の議員とは何か
  • 大津裕太 京都市会議員:『地域政党』という選択! 〜新しい政治の形を創り出す
  • 藤井大輔 富山県議会議員:リクルート流「徹底した顧客視点」で富山県から日本を変えられるか?
  • 井上麻衣 福岡市議会議員:平成元年生まれ 経験ゼロからでも議員になれる〜1期生議員奮闘記〜
  • 横内博之 四国中央市議会議員:子ども達が「将来、地元で働きたい!」と思える街へ〜地方の人口減少問題に向き合うキャリア教育アプローチ〜
  • 草野聖地 大津市議会議員:ガラパゴス行政レポート〜ビジネスの常識を少しでも行政に〜
  • 林・小野有理:前・四條畷市副市長(特別寄稿)「日本一前向きな市役所」をめざして

著者プロフィール:樫野孝人

かもめ地域創生研究所 理事、地域政党サミット 顧問     

リクルート、福岡ドーム(現PayPayドーム)、メディアファクトリーを経て、アイ・エム・ジェイの代表取締役に就任し株式上場。その後、広島県や京都府の特別職参与として企画した「おしい! 広島県!」や「もうひとつの京都」がショートショート・フィルムフェスティバル&アジア観光映像大賞(観光庁長官賞)を2度受賞。現在、CAP代表取締役、かもめ地域創生研究所理事、地域政党サミット顧問。

著書は「地域再生7つの視点」「おしい! 広島県〜広島県庁の戦略的広報とは何か?〜」「人口減少時代の都市ビジョン」「リクルートOBのすごいまちづくり」「仕事を楽しむ整える力〜人生を自由に面白くする37の方程式〜」「公務員のための情報発信戦」など。


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