企業内のシステムは業務ごとに個別最適されているのが一般的だが、最近のBIは、そのような各業務システムのデータを整理統合し、全社規模でデータの流れを分析できるまでに進化している。「BI製品群を生かせば、企業活動の原点である現場の数字から、結果である経営トップレベルの数字まですべてを見られるようにできます。それによって、企業活動の現状を把握できる環境が整えられるわけです」と平松氏は言う。
また、同社プロダクトマーケティングスペシャリストの久保良太氏は、データの的確な整理統合が行われることが、内部統制において特に重要だと話す。
「日本版SOX法では、大きな取引先の情報は監査の際に報告書へ記載しなければなりません。その際、データの名寄せがきちんとできなければ、報告すべき対象を見落としてしまう危険があります。また、広く内部統制全般を考える場合には、対外的な説明責任を果たすことも重要です。M&Aや提携といった際にも、相手側に対して経営実態をきちんと説明するには、まず的確なデータ統合が行われていなければできないことです」
一方、的確なデータをタイムリーに提供する環境が整っても、そのデータを上手に活用するにはエンドユーザー自身に適切な知識やノウハウを持ってもらう必要もある。そこでBIの社内活用を促進するものとして、BICC(ビジネスインテリジェンス・コンピテンシーセンター)という組織が注目を浴びている。ビジネスオブジェクツではその体制整備もサポートしているという。
「BIは情報を提供することはできますが、実際には、その情報をどのように活用するかが最も重要なポイントになります。BIを導入して効果を上げるには、IT部門というよりは、むしろ経営企画的な部門がリーダーシップをとって導入すべきものなのです」と平松氏。
かつてBIといえば、多くの場合はビジネスアナリストという専門家のためのツールだった。しかし近年では、現場におけるBI活用が経営改善に大きな効果を発揮すると考える「オペレーショナルBI」という考え方が主流となりつつある。現場の従業員が業務における最新のデータを常に念頭に置き、それぞれが迅速かつ的確な判断を下して業務を進めていくことで、判断ミスや遅れによるリスクをも軽減できるからだ。この考え方は、内部統制の観点からも有効な手法といえるだろう。
「どのような業務であっても、この効果はあるはずです。最近では、2007年問題への関心などから、特に属人的なプロセスをシステム化する傾向が強まってきていますが、データの分析に関しても同じことが言えます。特に、BIは人間の判断が含まれない数字を提供できるため、経営上のさまざまなリスクを軽減することにつながるのです」と、平松氏。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授