「SOA導入は21世紀企業の成功の鍵」と考えるSOAコンソーシアムは、SOAの潜在的利益を現実化するには企業のトップがSOAをITの統合と生産性の問題ではなく、ビジネスのアジリティ(機敏性)を実現する手段として認識すべきとの考えを前提としている。OMG会長でSOAコンソーシアム事務局長のリチャード・マーク・ソーリー氏は、07年3月のSOAエグゼクティブ・サミットでも「SOAとBPMを人為的に分離することはできない」と繰り返し強調している。
一方、日本BPM協会では、2007年12月に「SOA普及推進研究部会」を立ち上げ、日本のコンソーシアムとしてのイニシアティブ活動を開始する。この部会では、UML教育研究所(UTI)の代表取締役社長である碇利之氏が代表を務め、日本におけるSOA普及活動を通じて、業務とITの両方で統合的にBPMを推進していくという。また、OMGのSOAコンソーシアムとの連携や情報交換を深めていく計画だ。
SOA普及によるBPM促進に不可欠となるのが、双方に共通した表記ルールとなるBPMN(注2)やアクセス仕様のSDO(注3)、BPEL4WS(注4)である。
中でも、業務プロセスのステップを可視化するために開発されたBPMN最大の目的は、ビジネスユーザーからプロセスを実装するIT技術者までが、標準的なコミュニケーションを行いながらモデル駆動型開発を実現することにある。
「BPMNはビジネスマンが使うための記法」と表現されるように、ビジネスユーザーはBPMNのビジネスプロセス図を容易に理解でき、実装技術者はコンピュータシステムに実装できるように、ビジネスプロセス図を詳細化することができる。
2005年6月に、OMGはBPMNを開発した米国非営利団体のBPMI(注5)を統合し、BPM標準化活動を総合的に推進するとともに、BPMNの改良と普及に取り組むことが宣言された。
日本能率協会コンサルティングのチーフコンサルタントで、日本BPM協会の事務局長を兼務する横川省三氏は「日本BPM協会としてもBPMNの普及を促進していく。国内のITベンダーにBPMNの有用性を十分に理解してもらうことで、ベンダー各社のSOAビジネス推進にも生かしてもらいたい」と話す。
BPMNが標準的に使われることで、BPMがSOAにとってのマーケットとなり、それがBPMへの取り組み価値を高めることになる。そして、日本にもようやくBPMとSOAの相乗効果による業務プロセスの改革が促進するベースが整うことになる。
注2:(Business Process Modeling Notation):ビジネスプロセスモデリング表記法
注3:(Service Data Objects):OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards;XML関連の標準化団体)が検討しているSOAアプリケーション向けの共通データアクセス仕様
注4:(Business Process Execution Language For Web Services):オーケストレーション(定義されたプロセスに従って制御する技術)を記述するためのXMLベースの実行言語
注5:(Business Process Management Initiative)
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