人材やスキルの欠如、部門間のコミュニケーションエラーなどから日本企業でなかなか普及しないSOA。一度にすべてを解決しようとせず、地道な積み重ねが重要だという。
企業の業務とシステムを管理可能な単位に分解し再構成するエンタープライズSOA(サービス指向アーキテクチャ)は、ビジネスを支えるための基盤として重要な役割を果たす。しかし、SOAの考え方や技術自体は新しくないにもかかわらず、さまざまな原因から、企業での導入が進まないという現状がある。
日本オラクルは4月16日、ITシステム部門や経営企画部に向けたセミナー「SOA Boot Camp」を開催した。SOAアーキテクト部で担当シニアディレクターを務める小野沢博文氏は、「スモールスタートが肝心」とSOAを導入する上で重要となるこつを示した。
SOA導入時の問題として、現行システムがスパゲティ状態で複雑になりすぎてどこから手を付ければいいか分からない点、IT部門とビジネス部門など複数の事業部門にまたがる調整が難しいという組織的な点、検討すべき領域が広くすべてをカバーできなかったり、個別のアーキテクチャは作れるが全体の「To Be(理想モデル)」を描けないという人材・スキルに起因する点などが挙げられる。
小野沢氏はこれらの障壁を乗り越えるために、ビジョンを明確に描きスモールスタートで実行していくこと、メリット・デメリットを含めSOAのビジネス価値を経営者に理解してもらうこと、ビジネスとITの双方で構成するプロジェクトを確立することが大切だと強調した。
「(SOA)は欲張って一度にやろうとせず、こつこつと段階的に整備していくべき」(小野沢氏)
ただし、やみくもなスモールスタートでは意味がなく、自社の現状と将来のロードマップを把握することが重要だという。同社は、組織がSOAからどれだけの利益を引き出すことができるかを評価するためのツール「オラクルSOA成熟度モデル」を活用して、成熟度把握から導入プロジェクトの策定、ROIシミュレーション、今後のロードマップの策定を2〜4週間で実施するアセスメントサービスを提供する。
SOA成熟度モデルは、もともと同社とアクセンチュアが保険会社のハートフォード生命保険向けに構築したもの。初期段階の「レベル1」から最適なビジネスモデルを実現する「レベル5」までのロードマップの期間は5年と考えているという。小野沢氏は「同モデルは数年前に作られたが、時代に合わせて常に微調整している」と説明した。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授