食事をすることは、ある意味自分への投資であります。悪書を読めばそれなりの知識が身についてしまうように、ジャンクなものを食べれば、それなりのものが体に入ります。今食べた新鮮な、おいしい、栄養分をたっぷり含んだ、オーガニックのトマトは数時間後に食べた人の体の一部になっています。同じように、どのようなプロセスで製造されたのか定かでない劣悪な材料でできたハンバーガーや牛丼を食べてもやはり、それは数時間後にその人の体の一部になるわけです。
後者、またはそれに近いものばかり食べていて健康が維持できるとは誰一人考えないでしょうが、多くの人は少なからぬ罪悪感を抱きながらも、その安易な食習慣に甘んじています。結果的にその習慣に起因する疾病、つまり生活習慣病となるのですが、それを根絶するために食習慣の本格的な改善に取り組む方は、それほど多くはありません。なぜならば、その取り組み方をご存じないから、ということと、その効果が絶大であることをご存じないからです。
この本の巻末には一週間の理想的なメニュー案を提示してありますので、これを参考として良い食習慣を養う基本にしていただきたいと思うのです。
その第一歩は、できるだけ自然に近いものを食べよう、ということです。目指すことの最も対極にあるのがファストフードやコンビニで売っているスナック菓子やカップラーメンなどですが、これは外面こそ食べ物ですが、実際は食べ物ではありません。もし、食べ物と呼ばれるものが、食べた後なんらか体の役に立ち、良い影響を与えるものと規定した場合の話ですが。
つまり、こういうことです。我々の体は常に栄養素を必要としています。その栄養素は工業製品化されたものにはほとんど含まれていません。それどころか工業製品化されたものには、体の中では使うことができない化学物質が多量に含まれています。それらは栄養素とはまったく別で、その食品自体を長持ちさせたり、見栄えを良くしたり、無理やりコストを下げたりするために使われているものです。いってみれば、それを食べる人たちのためではなく、それを製造し販売する人たちのために添加してあるわけです。その化学的な物質は体内に入ると単なる異物という扱いになり、早く体外に排泄しなければならないという状況に立ち至ります。
そのために体にかかる負担は想像以上に大きいものです。結果的に静かに、継続的に体力を奪われることになります。そういった悪しき食習慣を続けたまま、長期間にわたって良い仕事をし続けることは、まず不可能であります。
長い不況が続く今だからこそ、きちんとした食習慣を身につけ、自分への確かな投資をするべきでしょう。株式投資をするときに、どの銘柄にお金を投じるか真剣に考えるように、毎日の食事の内容を真剣に考えるべき時がきています。
この本は、そのための頼れる羅針盤となるでしょうから、ぜひお手元に一冊お置き下さい。
フードプロデューサー。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、からだと食の関係の重要さに気付き、栄養学を徹底的に学ぶ。のちに1995年、渋谷区代々木上原にレストラン「キヨズキッチン」を開業。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。現在は「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発に力を注ぐ。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授