連載
» 2012年05月14日 11時00分 公開

【新連載】「等身大のCIO」ガートナー重富俊二の企業訪問記:変革期の帝人、ITに求められるものとは? (2/2)

[聞き手:重富俊二(ガートナー ジャパン)、文:大井明子,ITmedia]
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かつての電子メール導入ほどの大変革を起こせるだろうか

 ――仕事を進めるうえでのこだわりや、大切にしていることは何か?

 何事にも情熱的に取り組むこと、論理的にものごとを整理して考えること、継続することなどを意識している。そして、仕事を楽しくやること。「楽しく」というと若い人は勘違いするかもしれないが、「楽しい仕事」と「仕事を楽しくやる」のは全く違う。

帝人の石川氏(左)、ガートナーの重富氏

 若いときに先輩社員から「仕事は楽しくやれば、何倍も力が出るんだ。だから楽しくやるぞ!」と言われた。実際その通りで、情熱を持って仕事に取り組むと、大きな成果が出る。そして成果を出すことの楽しさを実感すると、さらに仕事に取り組むことができる。これは後進にも体験してほしい。

 ――経営環境やテクノロジーの変化が非常に激しい時代だがこれからのITリーダーに必要な資質とは、どんなものだろうか?

 難しい質問だが、かつて全社員がパソコンで電子メールを使い始めたことによってワークスタイルは大きく変った。以前は1日中電話にしがみついて仕事をしていたり、ファックスを毎日山のように送っていたし、届いていた。これが一切なくなった。

 ITが、ワークスタイルを根本から変えることができたひとつの例だ。これに匹敵するようなことを、その後わたしたちはできただろうか。今、スマートデバイスやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)などの新しいツールが出てきているが、ひょっとするとこれが、電子メール以来2回目のワークスタイル変革の起爆剤になるかもしれないと考えている。IT部門としてこうした変革を起こせるものを社内に提案したいし、メンバーにも常に新しいことにチャレンジするように伝えている。

 映画や漫画の世界にしかなかった夢のようなテレビ電話も、今のスマートフォンでは実現されている。少なくとも、10年前の自分には想像もつかなかったことが、コンシューマーの世界では起こっている。たくさんの方向にアンテナを張り巡らせ、こうした変化を敏感に受けとめ、常に自分の仕事につなげようとする感性を持ち続ける必要がある。

対談を終えて

 石川氏との対談で、霞が関にある帝人株式会社の東京本社を訪問した。案内された部屋には現在の事業内容を象徴するように多様な製品が陳列されていて、ビジネスの複雑さを先ず直感した。そして、さらにビジネスが「蛻変」しようとしている今、「ITはもっと何かできるはずだ」とビジネスや改革に積極的にチャレンジする姿を熱く語った。

 そんな今の石川氏を支えているのは、IT部門だけでなくビジネスの現場でITを担当していた経験を通して身に着けた、ビジネスとITを結び付けるコミュニケーションの力ではないだろうか。「情熱」「楽しく」と「論理的」「継続」、一見すると矛盾するような氏の言葉が印象に残っている。

 CIO、情報システム責任者の役割はどんどん拡がっています。そこで奮闘する皆さんの人としての姿(だから、等身大なのです)を連載して伝えたいと思います。今回はその第1回目でした。今後ともよろしくお願いします。

プロフィール

重富 俊二 (Shunji Shigetomi)

ガートナー ジャパン エグゼクティブ プログラム バイス プレジデント エグゼクティブ パートナー

2011年 12月ガートナー ジャパン入社。CIO、IT責任者向けメンバーシップ事業「エグゼクティブ プログラム(EXP)」の統括責任者を務める。EXPでは、CIOがより効果的に情報システム部門を統率し、戦略的にITを活用するための情報提供、アドバイスやCIO同士での交流の場を提供している。

ガートナー ジャパン入社以前は、1978年 藤沢薬品工業入社。同社にて、経理部、経営企画部等を経て、2003年にIT企画部長。2005年アステラス製薬発足時にはシステム統合を統括し、情報システム本部・企画部長。2007年 組織改変により社長直轄組織であるコーポレートIT部長に就任した。

早稲田大学工学修士(経営工学)卒業


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