物事をビジュアルで捉えるのが得意な人は、感覚的になりがちです。右脳的ともいえるでしょう。このタイプは、左脳を働かせて論理的に話すのが苦手なため、話も飛び飛びになりがちです。そのため「結局何が言いたいの?」と言われてしまいます。
このタイプは、とにかく、いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どのようにという5W1Hを意識して言葉にすること。それだけで話の明確さはぐんとアップします。また自分自身も言いたいことを見失うことなく、落ち着いて話せるようになります。
話し出すと止まらないというこのタイプは、自分のことを理解してほしいという思いが人より強いかもしれません。ただその願いは、相手だって同じこと。そこで自分がある程度話したら、そのあとは必ず相手に質問することを意識します。
例えば自分の仕事について話したら、「〇〇さんの仕事は最近どうですか?」といったように同じ内容について相手に質問します。あるいは、「今の話を聞いてどう思った?」と感想を尋ねるのもいいでしょう。
またこのタイプは、相手が退屈しているというサインを見逃しがち。自分の話をするときも、相手の様子を観察しながら話すと、「あ、今が質問するタイミングだ!」と気付けるようになります。
自己主張をするのが苦手で、聞き役に回りがちなこのタイプは、自分に自信を持てずにいるのかもしれません。あるいは、何かを言って責められるくらいなら、黙っていた方がいいと自己防衛が習慣になっていると、話す筋肉は衰えていきます。
もし聞き役に回ることが苦でないなら、それはそれでいいのではないかと私は思っています。なぜならほとんどの人が、聞くよりも話したいと感じているからです。聞いてくれる人の存在は、重宝されます。
ただ、自分も話したいのに話せないと感じているのなら、話を切り出す際の言い方を増やしていきましょう。
例えば「上手く話せないかも」と不安な時は、「言いたいことをきちんと言えるか不安なのですが」と不安な気持ちをそのまま伝えます。すると相手は、「この人はうまくまとめて話せないかも」と思いながら聞けるので、多少話が分かりにくくても、それを受け入れやすいのです。
とにかく人づきあいが苦手で、できれば人と会いたくないというこのタイプは、気を使いすぎてしまい、人と一緒にいるだけで疲れがちです。相手の気持ちを察する能力が高いからこそ、疲弊してしまうのです。
もしあなたがそう感じているとしたら、本当に心を許せる友人やコミュニティとの時間を増やすことをお勧めします。例えば学生時代の友人などと過ごす時間には、ダメな自分もそのままさらけ出せる居心地のよさがありますよね。心の底からリラックスできる、安心安全な空間や関係を、ぜひ見つけてください。そして、その時間を増やすうちに人づきあいに必要なエネルギーをチャージできるでしょう。
このように話し下手といっても、課題はさまざま。その方の性格や育ってきた言語環境によって、いろんなコミュニケーションタイプに分かれます。どれがいい悪いということではなく、タイプが異なるだけ。そしてどんなタイプであっても、必ず伝わる話し方はできるようになります。
話すことは運動です。頭で「こう言えばいいのか」と分かっても、実際に言ってみなければ、それを日常で使えるようにはなりません。ただ私たちは毎日話をしていますから、実践の場はすでにたくさんあります。そこで今までは言わなかった言い方を試してみませんか。外国語を身に付けるときのような感覚で。拙著『伝わる話し方のコツ』には、実践で使えるフレーズを載せていますので、ぜひ参考にしてみてください。
U.B.U. 代表
大阪生まれ、福岡育ち。アメリカへ高校留学した後、慶應義塾大学総合政策学部に入学。在学中からFMラジオのDJとして第一線で活躍。国内外の著名人5000人から本音を引き出すインタビューを経験するなかで、話し手・聞き手両方の立場から「わかりやすく伝える方法」について探求を重ねてきた。
独立後は「話し方の学校」を開校し、2年半に渡って学長として指導。現在は、スピーチやファシリテーション、コミュニケーションを軸に企業のリーダー育成に従事するほか、クリエイティブ・リーダーシップ養成講座を開講。人間の創造性を最大限に引き出すメソッドが各方面から高い評価を得ている。MCを務めるポッドキャストプログラム「マンツーマン英会話Gaba Gstyle English シチュエーション別英会話」は、毎月700万ダウンロードを超え、「iTunes Rewindオールタイム ベストビデオ Podcast」を3年連続受賞。また、歌手としても活動し、「言葉」と「声」の表現力を磨き続けている。
著書に『「ひらがな」で話す技術』(サンマーク出版)、『話すより10倍ラク!聞く会話術』(ディスカヴァー)、『本音に気づく会話術』(ポプラ社)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授