東京の街の“ローカルエキスパート”が、仕事の合間に一息つけるスポットやイベントを紹介します。
アニメと電気製品の街、秋葉原から川を渡ると、江戸情緒あふれる神田須田町が広がります。第二次世界大戦の戦火を奇跡的に逃れた木造入り母屋造りの老舗が並び、まるで時代劇の世界に入り込んだような感覚になれる地域です。ここでは、神田須田町でぜひ訪ねてほしい店を厳選して紹介します。
まず紹介するのは、江戸時代末期の1830(天保元)年創業の「いせ源本館」。大正時代に、現在のアンコウ専門店のスタイルになりました。関東大震災で店舗が全焼したものの、1930(昭和5)年に再建。第二次世界大戦の戦火を逃れ、現在も当時の風情を残しています。アンコウは、主に津軽海峡沖で生きたまま水揚げされた生きアンコウを厳選しており、ぷりぷりの身を味わえます。8500円〜のコースでは、アンコウ鍋以外にも肝刺しや唐揚げ、煮こごりなどを堪能できます。
「神田ちょん子」は、懐かしさとモダンさを感じさせる江戸小物をそろえている店です。アンティークのキセルや煙草ケースの他、店主自らが塗り、文字入れをしてくれるウルシのアクセサリーといったハンドメイドの小物も多くあります。注目は、店主の妻手製の模型。祭りの屋台や、いせ源、神田まつやなどの実在する神田須田町の老舗をそのまま再現した精巧な作品です。
疲れたら、1886年の創業当時からの製法を受け継ぐ寒天専門店「福尾商店」で一息つきましょう。伊豆や伊豆諸島など、産地の異なる最高級の天草数種類を合わせた寒天はこしがあり、風味が豊か。店頭では、奥の製造所で作られたばかりのところてんや、くず餅、梅寒天も販売しています。人気は黒蜜や赤えんどう豆、こしあんなど、全てが自家製のあんみつ。添加物を一切加えていない、素材そのものの味に感動することでしょう。1人前のカップ入り(380円)もあるので、散歩途中に公園などで味わうのもいいですね。3人前のあんみつは750円、6人前は1400円で土産用に買い求める人も多いそうです。
その他の詳しい情報は「神田須田町、ご近所ガイド」で紹介しています。世界大戦を生き延びた、歴史あふれる街をぜひ巡ってみてください。
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明治学院大学 経済学部准教授