問題(2)
ニューヨークで、明太子を売ろうと思います。ニューヨークでは、生魚の卵を食べる習慣がなく、むしろ気持ち悪いものと捉えられています。どうしたらニューヨークで明太子を広めることができるでしょうか。
答え
アメリカ人は、フランス料理をリスペクトする傾向にあるので、生魚の卵といういい方をせず、ハカタ スパイシーキャビアというネーミングで売り出す。(『売れないものを売る方法? そんなものがほんとうにあるなら教えてください!』川上徹也著 より)
柿内氏は、「伝わる技術がここにあります。その技術は、例えの法則で、身近なものに例えることでイメージが見える化し、自分ゴト化することができるという法則です。例えるときは、(1)伝えたい相手が理解しやすいものを選ぶ、(2)抽象的な話をしたあとに具体的に例えることが重要です」と話す。
例えば、食べもの、レストラン、話題のニュース、シニア層なら健康ネタ、趣味など。具体的には、○○界のユニクロとか、○○の小京都、○○銀座、○○富士などである。例え話は、急には思い付かないので、普段から意識して「集める」ようにしておく。
「例えは、抽象的なもののあとに、具体的なものを入れると分かりやすくなります。ただし、サッカーの例え話はサッカーが興味のない人には伝わらないので、誰にでも共通している例え話を考えることが必要です。食べ物やレストランは、共通して理解しやすい例え話です」(柿内氏)
問題(3)
「かっぱえびせん」の有名なコピー「やめられない とまらない」には、「伝わる」うえで大切な2つの要素が入っています。それはなんでしょうか。
答え
ファクト(事実)とメンタル(感情、情緒)です。「やめられない」がメンタルで、「とまらない」がファクトです。
この法則は、広告やキャッチコピー、文章などでも非常によく使われる。例えば、「お、ねだん以上ニトリ」とか、「すぐおいしい、すごくおいしい(チキンラーメン)」など。「お、」がメンタルで、「ねだん以上」がファクト、「すぐ」がファクトで、「すごく」「おいしい」がメンタルである。
フリオチの法則も有効である。お笑いにおけるフリとオチの定義は、フリは相手に「この先こうなるのだろうな」という想定をさせることで、オチはその想定を裏切る意外な結末を用意することである。「伝わる」におけるフリとオチは、振れ幅を大きくして、より価値を見える化するための法則である。
例えば、坪田信貴のヒット作『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の学年ビリのギャルが慶應に合格というギャップは、価値が見える化し、伝わりやすくなる。
「フリオチには、引き算で作る、足し算で作るという2つの方法があります。引き算で作るとは、ビリギャルのビフォーアフターなど、いまの場所と前の場所の絶対値ですごさや魅力を見える化し、足し算で作るとは、高級レストランのメニューのように、要素をどんどん足していくことですごさや魅力を見える化します。覚えておいてほしいのは、オチだけでは伝わりにくいということです」(柿内氏)。
次に脳内チューニングの法則は、お互いが言っていることと、思っていることの不一致を解消する。例えば、以下のような場合である。
部下 「すごい仕事が大変なんです!」
上司 「それが成長につながるよ。頑張ろう」
部下の頭の中 「頑張りだけでどうにもならないから言ってるんだけど……」
上司の頭の中 「これくらいで泣きごというなんて、甘いよ……」
この不一致を解消するためには、脳内のチューニングが必要になる。脳内チューニングとは、お互いの頭の中にあるゴールイメージを共有していく作業で、質問が大切で、質問により相手の現在地を探る。最終的な提案は、抽象度を下げて具体的な提案まで落とすことが必要。相手に関心を持っていることが伝えられ、相手との人間関係を築くサポートしてくれる。
柿内氏は、「質問には、いい質問の仕方と悪い質問の仕方があります。悪い質問は、相手を追い詰める質問、二者択一の質問、自分の意見に誘導する質問です。いい質問は、相手の意見を聞く、相手に興味をもって質問をすることです。ほかにも、伝わる技術はいろいろとあるので、興味があれば本を読んでほしいと思います。伝わるというのは、相手ありきなので、大切なマインドとして“相手を思う優しさ”が必要です」と話している。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授