部長は、部門の責任者として、社長や取締役などの経営陣と近く、会社によっては経営陣の一角を担う場合がある。課長は、現場の責任者として、業務の遂行に責任を担っている。本来そうありたいが現実は違う。
第2回『超訳ドラッカーの言葉』取締役編 取締役の仕事は1人でこなすことは不可能であり、他の取締役と力を合わせて成り立つ仕事
第4回『超訳ドラッカーの言葉』 強み編 成果をあげるために自分の強みを知らなければならない。それは理想の話ではなく厳しい現実である。強みを生かすことは責任である。
第5回『超訳ドラッカーの言葉』 マネジメント編 企業は生き物のように生きることを目的とすることはできない。企業の目的は社会の役に立つことである。
こんにちは。山下です。前回、第2回『超訳ドラッカーの言葉』取締役編では、組織に必要な3つのことをお伝えした。今回のテーマは部課長についてだ。この連載では、部長と課長は、経営陣でもなく一般社員でもないという共通点から、部長と課長を部課長という表現で1つの階層としてまとめて話を進める。
部長は、部門の責任者として、社長や取締役などの経営陣と近く、会社によっては経営陣の一角を担う場合がある。課長は、現場の責任者として、業務の遂行に責任を担っている。本来そうありたいが現実は違う。
また、部長、課長という役職に就いているからといって、必ずしも部下がいるとは限らない。実際、部下を持たない部長、部下を持たない課長は大勢いる。多くの部課長は、上から責任を追及されるが権限は与えられていない。
部長も課長も、上から仕事をやらされているのであって、上から仕事を任せてもらえているわけではない。それが現実だ。部長と課長、この中間管理職をひと言でいえば、「責任はあるが権限はない人」と言える。それが日本の企業の実態だ。
中間管理職という言葉を聞くと、多くの人がマネジメントという言葉を思い浮かべる。日本のビジネスパーソンの多くがマネジメントは管理だと考える。私たち日本人はそう教えられてきたからだ。果たして、マネジメントは本当に「管理すること」なのだろうか。
マネジメントの父、ドラッカーはこう言っている。
マネジメントは管理することではありません。
したがって、マネジャーは管理する人ではありません。
マネジメントとは挑戦することです。マネジャーは挑戦する人です。
挑戦とは、得たい結果に向けて働きかけることです。
中間管理職としての責任において、
得たい結果を明らかにし、自ら行動を起こしていきましょう。
『超訳 ドラッカーの言葉』
部課長は、組織の最上層部ではないため、組織全体に関わることについて決定権をもたない。組織の最下位にいる人ではないため、ただ上の指示に従っていればいいというわけにもいかない。では、いったい部課長の仕事とは何だろうか。部下をもつ上司という立ち位置から部課長の仕事について考えてみたい。
恐怖で部下の心を支配し、数字の良し悪しで賞罰を与えさえすれば、一時的に売上を伸ばすことは可能だろう。しかし、目的の如何を問わず、手段も選ばず、部下を脅して動かそうとするやり方は脅迫である。それは組織運営とは言えない。部課長が部下にいちいち口出しをする組織は永続しない。部課長の仕事は部下の仕事に首を突っ込むことではない。部下にアドバイスすることでもない。部課長の仕事は、部下本人自ら何が問題か気付けるように導くことだ。会社が進む方向性を共有できれば、上の指示はいらない。
ひと昔前は、「上司がやっている仕事」と「部下がやっている仕事」は同じだった。当然、多くの経験を積んできた上司の方が、経験の浅い部下よりも仕事ができた。ゆえに、上司は命令を出す人で、部下は命令に従う人に過ぎなかった。しかし今は違う。少なくとも部下に命令さえしていればいいという仕事ではない。では、部課長の仕事とは何だろうか。中間管理職として責任を果たすために、部課長は何を変えていかなければならないのだろうか。
ドラッカーはこう言っている。
あなたの仕事はあなたの頭の中にあります。
自分の頭がオフィスであり、デスクです。
それはあなたの部下も同じです。
何から何まで命令することはできません。
中間管理職は、「命令できず、命令もされないような状況の中で
マネジメントしていなければなりません。
その方法を見出すのがあなたの仕事です。
中間管理職として責任を果たすために、
「命令で部下を動かすやり方」を捨て、
「命令しなくても部下が自ら動くやり方」に変えていきましょう。
『超訳 ドラッカーの言葉』
今日、仕事は専門化された結果、分業化されている。分業化とは、業務を複数人で分担して行うことだ。会社によっては特定の人が複数の仕事を兼任している。中小企業においては多くの業務を社長がこなしている。
ゲーム会社では、部下が書いているプログラムの詳細まで上司は把握できない。上司が分かるのは進捗と納期ぐらいだ。命令で部下にいいプログラムを書かそうと思ってできるものではない。上司は、部下の仕事の詳しい中身まで分からないからだ。部下を命令で動かすことはできない。部課長は部下を持ちながら同時に上司を持つ。関心は上にある。時には上司のために仕事をしているような錯覚にも陥る。いったい何のために、誰のために仕事をしているのか。
ドラッカーはこう言っている。
上司、同僚、部下は、それぞれ抱えているものが違います。
さまざまな事情が複雑に絡み合っています。
毎日、組織という檻の中で閉じ込められているかのように、
私たちの関心は、社内の都合に引っ張られています。
私たちが仕事をしているのは、成果をあげるためです。
お客様のために仕事をしています。
仕事の向こうにいるお客様に焦点を合わせることが、
成果をあげる鍵です。
明日、「自分たちがあげるべき成果は何か」について
あなたの部署の人たちと確認し合いましょう。
『超訳 ドラッカーの言葉』
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授