前段で説明したように、介護施設は種類によって利用対象や入居の目的、サービス内容、費用の目安などが異なります。
入居者本人の希望や要介護度、心身の状態、予算などと照らし合わせ、どの種類が合うのかを検討することからはじめてください。「希望と言われても……」と戸惑ってしまうと悩む場合は、泊まりがけの旅行に出掛ける際にどこに宿泊するかを検討するときのことを頭に思い浮かべてみてください。
至れり尽くせりの設備とサービスを求めるなら、高級ホテル。サービスは最小限にして費用を抑えるなら、ビジネスホテル。他の宿泊客との交流も楽しみたいなら、民宿やホステル。
列記したように、滞在の目的や好み、設備、雰囲気、費用などのバランスを考えながら、数ある宿泊施設から予約先を絞り込んでいけますよね。
介護施設も同じような考え方で検討しはじめると、取りかかりやすいと思います。
サービスの手厚いところがいいなら、介護付き有料老人ホーム。自由度の高さやプライバシーを重視するなら、サービス付き高齢者向け住宅。月々の費用を安く抑え、高齢者の仲間たちと一緒に暮らしたいなら、公的施設のケアハウス。
もちろん介護施設を選ぶ際には、ホテル選びとは違って心身の状況や必要なサービスを最優先に考え、費用もシビアに見ていくことが重要です。
介護施設は旅先の一泊ではなく、最期を迎える可能性のある場所。「余生をどう過ごしたいか」「どんな場所で最期を迎えたいか」という本人の思いや希望も同じくらい大切に考え、検討してください。
施設の種類についてある程度検討できたなら、実際にその種類に属する施設を見学することをおすすめします。
体の具合や時間の都合などにもよりますので、無理は禁物ですが、可能であれば、候補施設を3つは見学して比較検討すると、より本人に合う施設を見つけやすいでしょう。
特養、ケアハウス、グループホームを1つずつ見学するというよりも、特養を検討するなら特養の3施設を見学すると、違いがより明確に見えてくるはずです。
見学の際に意識して見てほしいのは、「人」「雰囲気」です。施設の設備や部屋の内装、サービスの内容などは見学後にもパンフレットやホームページで確認できますが、入居者やスタッフの様子、雰囲気などは現地に赴いて初めて見えてくるものです。
現地見学は必須と考えていいでしょう。
共用部の様子を見学してみると、「1人で読書や書き物をしている人が多い」「複数の方々が集まって談笑したり、将棋を指したりしている」「スタッフ同士の会話や笑い声がよく聞こえる」など、観察してみると施設それぞれの特徴が見えてきます。
「1人で過ごす時間が好き」「少人数で和やかに過ごしたい」「いろんな人と触れ合い、ワイワイ過ごしたい」など、本人の人柄や心地よい過ごし方をふまえて、人や雰囲気との相性を確認するとよいでしょう。
看護師 看護・介護ジャーナリスト、国家資格:看護師・保健師・国会議員政策担当秘書など
2005年慶應義塾大学看護医療学部1期卒業。米国Canisius大学MBAを取得。
国際医療福祉大学医療福祉ジャーナリズム分野博士課程在籍。
ETIC社会起業塾を経て、無医地区への医療提供体制づくりに取り組む。
2019年診療所や訪問看護ステーションなど全事業承継。
現在は、訪問看護師向け雑誌などで連載や高齢者向け新規事業開発に取り組む。
開発に関わった三角巾は、グッドデザイン賞を受賞する。
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【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授