DXを推進する際、「システムがなにより重要」と考える会社が多い。しかし、重要なのはシステムではなくカイゼンのノウハウだ。旭鉄工では、横展アイテムリストとよぶノウハウ集を作り、それを社内で共有している。何かをカイゼンしたいと考えた時、この横展アイテムリストからカイゼンの方法をピックアップし、一つひとつ試していくことで素早く楽に対策が見つけられる。この横展アイテムリストを見ることで、社員はカイゼンの方法を学ぶことができ、人材育成にもつながる。
「旭鉄工ではこれらのノウハウやナレッジを共有するために、生成AIによるナレッジマネジメントもおこなっています。いろいろカイゼンを行ってきて分かったのは、DXに必要なのは、ノウハウだということです。どういうデータをどうやってとるかという“データ収集ノウハウ”、データを理解しやすいように視覚化する“データ分析ノウハウ”、そして起こっている問題をカイゼンする“問題を直すノウハウ”です。これらのノウハウはやってみないと得られないものであり、われわれが過去にさまざまなトライ&エラーを行ってきたことが、ノウハウとして積み上がっているのです」(木村氏)
DXに取り組みたいが、「IT人材が居ないとDXできない」と考える企業も多い。しかし、DXに必要なのは「経営者がDX人材になること」だ。DXとはつまり「デジタルで楽をする」ことといえるが経営者が「こんなことができるんじゃないか?」と考え、それをとにかくやってみることが重要なのだ。生成AIの導入なども、自分が好奇心を持って遊んでみることで、感覚をつかむことができる。
DX=変革である。「こういうルールだからできない」「IT人材がいないからできない」とブレーキを踏むのではなく、困難を突破する覚悟を持って、全体の幸福を考えてアクセルを踏まなければならないのだ。
「変革であるから、問題が山積みだというのは当然です。でも経営者として会社全体の幸福を考えて、会社のためにやらなければならないことがあるなら、嫌がる人がいても変革をやりきるべきです。経営者はデジタルに対する感覚と覚悟を持って、具体的な施策はスキルを持つ社員に任せることでDXを完遂できるはずです」(木村氏)
講演を終えた木村氏は、旭鉄工で利用している生成AI「AI_KImura」「AI製造部長」のデモンストレーションを実施。参加者も生成AIに興味津々なようで、生成AIの導入、実施に関する質問が上がっていた。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授