グーグルとの提携で判明した「ドコモ2.0」の正体新世紀情報社会の春秋(1/2 ページ)

インターネットへのニーズは家やオフィスから街に飛び出し、そこからまた新しいサービスが生まれようとしている。それに伴いPCや携帯電話などの端末からサービスに至るまで、そのあり方が根本から大きく変化しようとしている。

» 2008年03月06日 09時00分 公開
[成川泰教(NEC総研),ITmedia]

際立つ音声からデータへの変化

 携帯電話の世界が大きく変わろうとしている。変化の実体を端的に言うなら、世界的規模での音声からデータへのシフトに他ならない。その背景としては、3Gなど高速なモバイルインフラの普及が進んでいることもあるが、最も重要なのはPCとウェブを中心に発展してきたインターネットサービスが、人間の日常生活や行動により深く関わり、それが必要不可欠なものになって来ていることだ。インターネットへのニーズは家やオフィスから街に飛び出し、そこからまた新しいサービスが生まれようとしている。それに伴いPCや携帯電話などの端末からサービスに至るまで、そのあり方が根本から大きく変化しようとしている。

 その変化は「垂直統合型」という独自のビジネスモデルで、世界に類を見ない市場を築き上げてきた日本の携帯電話市場にとっても例外ではない。業界構造の変化はとりわけ大きなインパクトとなりそうな気配である。今回はその中でも海外から寄せている変化の予兆について、今後の方向を含め考えてみたい。

「ドコモ2.0はWeb2.0である」という結論

 国内携帯電話サービス最大手のNTTドコモが、モバイルインターネットサービスでインターネット検索最大手のグーグルと包括的な提携に至ったことは記憶に新しい。正式発表前にリーク情報などもあったが、そのはるか以前からこの提携についての理論的な想定は十分できた。一方で、ライバルであるau/KDDI陣営が先行してグーグルとの提携に踏み切ったことや、垂直統合へのこだわりが強いドコモ社の姿勢などから、実現はなかなか難しいのではと思われていただけに、実際に発表された内容がかなり広範なサービスに関するものであったことは、それなりの驚きをもって受けられたのは事実だろう。

 今回の提携は、若年層を中心にした加入者の伸び悩みを打開すべく、端末を軸にしたサービスの拡充やブランドイメージの一新を目的に展開した「ドコモ2.0」キャンペーンが、いまひとつ効を奏さぬ状況に対して、ドコモが次の一手に打って出たという見方もできる。結局、ドコモ2.0というのはWeb2.0のことだったわけだ。

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