「日本の経営者はイタリア人を見習え」――経済アナリストの森永氏
経営環境の悪化により、業績不振に陥る企業が後を絶たない。昨年末のトヨタ自動車を皮切りに、ソニー、NEC、日立製作所など日本を代表するトップ企業が相次いで赤字転落を発表している。苦渋の表情を浮かべて業績悪化を口にする経営者たちを見かけない日はない。
「すぐに暗くなるのは日本人の悪い癖」。こう話すのは経済アナリストの森永卓郎氏。1月29日に開催された「NTTデータ イノベーションカンファレンス 2009」の基調講演に登壇した森永氏は、現在の日本の問題点をイタリアと比較しながら指摘した。
日本人は暗すぎる
森永氏によると、日本とイタリアは、市場の企業構成、南北に伸びる縦長の国土、首相が頻繁に交代する点などでよく似た共通項がある一方で、日本人とイタリア人の気質に関してはまったく違うものだという。
「経営トップの挨拶が代表的だ。“わが社を取り巻く経営環境は一層厳しさを増し……”と社員に語る日本の経営者がいるが、これは日本人の典型的な悪い例。雰囲気を暗くさせている。イタリア人の経営者の挨拶は実に明快である。“アモーレ・カンターレ・マンジャーレ!(愛して、歌って、食べて)”。日本の経営者もこの明るさを見習うべきだ」(森永氏)
なぜ日本がイタリアを意識しなければならないのか。実は1人当たりの名目国内総生産(GDP)において、日本はイタリアより下に順位を落としてしまったからである。森永氏は「(日本人と比べて)労働時間が短いイタリア人に負けている現状を認識すべき」と訴える。
もちろんイタリアの優位性は存在する。企業の商品開発に対する取り組みがその1つだ。イタリアは若手社員の感性を尊重しあらゆるものを商品に反映させ、成否は市場に委ねるというチャレンジ精神を持つ。例えばファッションメーカーのFENDIは年間1500もの商品を開発するという。一方、日本は「企画段階から若者のアイデアをつぶしている」と森永氏は強調する。
江戸時代へ戻るべき
日本はこのまま埋没していくのか。森永氏は260年にわたり安定した政権を築いた江戸時代へ立ち返るべきだと述べる。江戸時代の優れた点として、(1)地方分権、(2)環境配慮に関する3R(Reduce:減らす、Reuse:再利用、Recycle:リサイクル)の実現、(3)平等社会、(4)文化創出、の4つを挙げる。当時の日本は地域ごとに住民が自立しており、労働時間は少なく、新たな文化を次々に生み出していた。派遣切りをする今のような経営者はおらず、皆がきちんとしたものづくりを行っていたと森永氏は解説する。
「米国の繁栄は金融バブルの産物であるため、米国型の経営理論だとグローバル競争の波に飲み込まれてしまう。日本は江戸時代にならい、当たり前のことを当たり前にこなしていくことが重要だ」(森永氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
ITmedia エグゼクティブのご案内
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。 勉強会のスケジュールはこちら
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入して申請ください。審査のうえ登録させていただきます。
- 入会条件:
- 上場企業および上場相当企業の課長職以上
※入会は無料です
エグゼクティブコンテンツ
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
5年で辞める予定の元数学青年が「しなやかな心とぶれない軸」でCISOへ - 富士通 太田氏
-
2
自転車ヘルメットを「カッコ良く」 学生が警視庁、良品計画とコラボ 広がる着用の輪
-
3
「話を聞いてもらえない」のは、内容のせいとは限らない――伝わる人が押さえる第一印象
-
4
「大企業は一朝一夕には変わらない」 NTTデータ冨安寛氏がAI時代に重視する原理原則
-
5
「世界のベストバー50 2026」に東京のバー2軒がランクイン
-
6
「世界のベストバー50 2026」に東京のバー2軒がランクイン
-
7
フィジカルAI実用化の壁をどう越えるか──経産省・PFNらが語る、"5~8桁足りない"学習データの現在地
-
8
第55回:「誰が言ったか」で判断していないか──SNS時代、エグゼクティブに必要な「空気に逆らう力」
-
9
眠れない日こそ活動量を増やそう。認知行動療法で自分を変える、一生モノの思考術とは?
-
10
何を任せ、何を任せないか ― 対象選定という最初の論点
ITmedia エグゼクティブ SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaエグゼクティブをフォロー