知識管理(KM)システムのメリット、KMシステムを計画、作成、更新、維持する方法、従業員が知識を活用し組織に貢献することを確実にする方法を学びます。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
この要約書から学べること
本書は、企業の知識管理(KM)システムの実施の責任者にとって、実践的な書籍であると同時に、さまざまなメディアや端末を通じて入ってくる、多くの情報や知識の情報過多となっている現代、個人が自分にとって有効かつ必要な情報だけを適切に管理活用していくうえでも非常に役立つ内容です。ビジネス・トレーナーであり、知識管理の専門家であるクリスティ・ガーボル・アットウッドは、本書を通して知識管理の手助けする事を目的としています。
特に彼女は、企業のナレッジに深く関わる従業員によるインプットに基づいて構築された、特別なシステムの必要性を強調しています。本書を読むことで、洞察力のある提案やKM(ナレッジマネジメント)システムを利用する手段に関する適切な知識アドバイスを得られます。情報の持つ価値を、最大限に活用する上で、企業や個人にとって非常に有効的な良書だと思います。
情報共有の1つとして、知識管理が今、企業経営に必要とされています。社内内部の知識を情報として管理するために必要なことはどんなことなのでしょう。本書ではまさにその原則について言及しています。
『知識管理とは動的システムであり、企業が重要な情報を特定し、それを発信する人から収集し、保管し、共有するために使用するものです。企業はそのような情報を、プロセス、カスタマーリレーションズ、意思決定、従業員の士気、業績、利益、時にはコンプライアンスを向上させるために使用します。知識管理システムが優れていると、企業の内部知識を一元管理し、退職する従業員が持つ情報など有益な情報をできる限り集積できます。包括的なKMシステムを実施するために、次の10つ(編注:ここでは5つを紹介します)の基本ルールに従ってください』
知識管理システム運用には10個の基本的ルールが存在するようです。それらについて、順を追って解説しています。非常に簡潔で分りやすい内容ですので、自分に置き換えて活用するといいでしょう。
『企業に勤める人はすべて、企業のメリットや利益のために自分が持っている知識を共有しなければいけません。これを可能にするためには、企業は簡単に検索、活用できるようデータを整理、保存するシステムを持つ必要があります。同時に、そのシステムを保持する手順を設定する必要があります。適切な手順、人員、器材を集める上で、リーダーシップを発揮させるために、組織のために学習する意欲のある従業員を探すか、KMシステム管理の専門家を雇ってください。また、ITの専門家から部門の代表者まで、企業内すべての分野の従業員を抱える開発チームをつくってください。それができたら、次に記す5つの段階を経て、企業のKMシステムを利用してください。
1. 組織のニーズを特定する
自社にとってどのような情報が最も有益か判断してください。関連性のあるデータは、顧客、戦略、ベンダーから得る事ができる場合と、進行中のプロセスの資料から得られる場合があります。
2. 知識源を探す
入手すべき最も重要な情報を見つけてください。
3. 情報を収集し保管するシステムを選ぶ
企業は、簡単に検索、使用ができるようデータを収集し保管する最適なシステムを決める必要があります。知識と学習の専門家が、知識の正当性を立証し、必要な人が参照しやすいよう整理、保管する最良の方法を決めてください。また、企業のKMシステムは、法により求められているデータを収集する上でも役立ちます。
4. 情報を蓄積、確認、回覧する
参照可能にする前に、情報をレビュー、フォーマット、検証、修正してください。
5. 知識してステムを保持する
知識は動的なものであるため、絶え間なく変化します。そのため、あらゆる改定に後れを取らないよう、長期的な更新および保持手順を確立しておくことが重要です』
知識管理とは人、知識共有をするシステムを保持する手順、それをどう行うかという、情報を扱うための5つのステップがあると言及しています。
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明治学院大学 経済学部准教授