例えば、課長をしている人が管理職の中でも部長と会う、あるいは自分と同じ業界の人で、自分よりも少し上の人と接点を持つのはよいでしょう。駆け出しの編集者なら、デスククラスの人の視点が「高める」視点にあたります。これが有名雑誌の名物編集長だと少し背伸びした人脈になってしまいます。
無理して背伸びした人脈と付き合おうとしても、あなた自身が相手に提供できるものがなければ、関係はそう長くは続きません。身の丈に合わない人と無理に関係を作ろうとするよりは、むしろ本業に精を出し、相手ともう少し近い目線で話せるようになってからのほうが密な関係を築けるはずです。人脈は、何も焦って無理をして作るものではないのです。
また、相手には決して「何かしてあげる」のような偉そうな視点で振る舞ってはいけません。相手が困っていることがないか聞いてあげて、自分に手伝えそうなことであれば手を貸すというスタンスで臨みましょう。
最後に、一番大切なのは、いつでもフットワーク軽く動ける人であることです。そうして重宝がられる人になることを目指しましょう。社会人になって5、6年ほどたつと、次第に後輩もでき、自分が行動しなくなることがあると思います。しかしそれは間違いです。
人脈構築においては、自ら行動することに意味があります。話の段取りだけ自分でつけて、あとのセッティングは部下や後輩におまかせ、ではいけないのです。
どの業界でも、活躍する人は、どんなに立場が偉くなっても皆、自分で動いています。中途半端な人だと、少し偉くなった途端に動かなくなります。多少後輩が入ってきたからといって動かなくなるのは勘違い。自ら行動できないと意味がありません。
人脈は、行動する人同士で生まれます。フットワークが重い人や受け身の人は、自然と淘汰されます。人脈が豊富な人は、何か相談事をするとすぐに動いてくれます。例えば、私が懇意にしているあるメーカーの社長は、相談事があって電話をするとすぐに動いてくれます。必要な人との連絡を取り、日にちを決め、30分後には私の秘書に予約が入った状態、というのは朝飯前。忙しい人だからこそ、すぐに決めて行動するのです。
もちろん、してもらうばかりではなく、私も彼にすぐお礼の連絡を入れますし、彼からの頼みごとには自分もできるかぎり応えたいと思っています。
そうしてお互いが動きあっていると、必然的に常に会うことになります。人間関係は、お互いが動いてこそ深まり、どんどん人脈が強固なものになっていくのです。
こうして築いた人脈は、あなたのビジネス人生に刺激を与え、成長させてくれる大切な存在となります。だからこそ、自分で動くこと、感謝の気持ちを忘れずに積極的に生かしてください。
1964年生まれ。新卒で(株)リクルートに入社、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立企業専門誌「アントレ」を創刊、事業部長、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。
『法人営業のすべてがわかる本』(日本能率協会マネジメントセンター)、『トップ営業のフレームワーク』(東洋経済新報社)、『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)など著書多数。
本書は、リクルート時代から営業マンとして活躍する一方で、長年自身でも多くの勉強会を開き、幅広い人々とのつながりを持つ「人脈の達人」として知られる著者が初めて明かす、人脈作りの実戦ノウハウである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授