そのような新・ぶら下がり社員の目の色を変えるためには、どのような働き掛けが効果的なのでしょうか?
失敗したくない、目立ちすぎることはよくない、役割通りにしなければ……といった、過去の経験による"無意識な決めつけ"を優先するようになると、どうしても受け身な行動が多くなってしまいます。それよりも、自分の軸――ミッション――を優先させれば、決断すること、力強く行動することができます。
キャリア的にもライフステージの面でも大きな変化を迎えるこのタイミングで、自分自身に向き合い、業務遂行能力だけではなく、人間的成長を遂げることが必要なのです。
そのためには、葛藤から内省、そして決断のサイクルを実行することです。
まず、「今のままではいけない」という健全な危機感を持たせることができなければ、変化を起こすことはできません。難易度の高い仕事を与えること、配置換えをすること、失敗させること、職場のさまざまな人からのフィードバックの機会を与えるなどして、本人の中に葛藤の意識を芽生えさせることが大切です。
そして、次のステップが自己を俯瞰した内省です。人材育成をしてきて、変わる人と変われない人の違いは、自分のことをありのままに受け入れることができるか、できないかの違いにあるといってもいいでしょう。自分の強みも弱みも隠そうとせずに、そのまま受け入れることは、なかなかできないことなのです。内省をして、自分の働く目的を見つけさせることがポイントです。
最後に、自らの意志に基づいた決断をします。決断とは、決めて断ち切ることです。決断なくして、変化はありえません。内から湧き上がってくる自らの働く目的を自ら導き出し、生きようと決断したとき、人生は変わります。
30歳で人生を諦めさせてはいけません。むしろ、人生のスタートとさせるべきです。自分の人生の方向性を決め、力強く歩むことを支援すべきでしょう。自分のミッションを持った人を増やせるかどうか、そのような人を組織に引き止めることができるかどうかが、今後、企業の強さに反映するでしょう。自分のミッションを持った人が組織を活用して、自分のミッションを実現していきます。そして、そのことが、組織の価値を増大させていくのです。
前向きになった社員を支援していくこと、強い組織を構築していくことこそが、エグゼクティブの役割だと考えます。
株式会社シェイク代表取締役社長。
大阪大学基礎工学部卒業後、住友商事株式会社に入社。通信・放送局向けコンサルティング、設備機器の輸入販売を担当。新事業の立ち上げなどにも関わる。
2003年、企業に人材育成プログラムを提供する株式会社シェイクに入社。営業統括責任者として、大手企業を中心に営業を展開する。2009年9月より現職。
現在は、代表取締役として経営に携わるとともに、新入社員からマネジャー育成プログラムまで、ファシリテーターとして幅広く活躍する。ファシリテートは年間100回を数え、育成に携わった人数は6000人にのぼる。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授