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» 2012年10月23日 08時00分 公開

あらゆるマーケティング活動はデータを取って分析・活用を――ネットイヤーグループ石黒CEOITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

[岡田靖,ITmedia]
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 「例えば、消費者が購買に至るまでの情報というのは、これまで購入者を対象としたアンケートなどから得ていた。しかしアンケートはサンプル数が限られるし、購入者は必ずしもその商品が好きで買ったとは限らない。こういった情報は、ソーシャルメディアから見えてくる。商品に対して言及しているコンテクストが分かり、商品に対する好き嫌いが分かる。そしてリアルタイムに見ることもできる」(石黒氏)

 こうした目的を達するために、自社WebサイトのCMS(コンテンツ管理システム)やECサイト、またCRMやSFAなど自社の顧客接点に加え、ソーシャルメディアとの連携やソーシャルメディアの生情報など、さまざまな機能を連携させ、横断的に分析する仕組み、それがデジタルマーケティングプラットフォームということになる。

 「使うツールは何でもいいと思っている。目的に適えば部分的な構築でもいい。例えばfacebookだけ、自社メディア+facebookだけといった環境でも、デジタルマーケティングプラットフォームの機能を果たすことができるだろう。重要なのは“顧客と継続的なつきあいをすること”であり、それを実現できるデジタルのプラットフォームを作る、ということだ」(石黒氏)

 デジタルマーケティングプラットフォーム実現の方法はさまざまだ。メールマーケティングで得た属性情報と自社サイトのアクセスログを組み合わせ、自社サイト内の行動に応じた絞り込みを行ってメールマーケティングを行う例もある。またサイト内でソーシャルゲームを提供し、そこにSNSアカウントでログインしてもらい、ユーザーの許諾を得てユーザー属性の一部を取得、自社サイトへのアクセス分析に取り入れ、その分析結果を集客に繋げるアクション(サイト改善)に生かすという仕組みを作る例もある。

 もちろん仕組みだけでなく、ユーザー行動を分析してアクションに結びつけるシナリオ、そしてそれを作るマーケターの存在も重要だ。

 「米国のレンタカー会社では、サイトを長時間見ていたものの契約をしなかったユーザーの行動を分析し、非会員や予約途中でキャンセルした客に対するシナリオを用意している。非会員に対しては予約確認フローの他に、観光情報サイトなど顧客が閲覧しそうなサイトに広告を出す、予約フローの途中でキャンセルした客には乗車日まで2週間以内であれば後続の処理を再開でき、数日後にリマインダーメールを送るなどしている。こうしたシナリオは、全てマーケターが作り、それを自動配信する仕組みが、Responsysというツールですべて実現できる」(石黒氏)

コールセンターや営業もデジタルの顧客接点を活用

 電話やメール、Webフォームなどを受け付けるコールセンターも、重要な顧客接点だ。しかし、顧客がコールセンターに連絡するのは、主に商品やサービスに不具合があったり不満を感じた場面で、しかも急いでいたり、必要なときに使えないというストレスから言葉が荒くなりがちだ。

 「コールセンターは良くない意見を受け付ける窓口となってしまいがちで、そこから積極的に顧客へのアクションを行う企業は多くないが、中にはコールセンターを“コマンドセンター”として、プロアクティブに運用している企業もある。キーワードなどを指定してTwitter上の声を収集、その内容に応じてTwitterへの発言を行ったり、自社メディアのコミュニケーションなどアウトバウンドに活用、また社内向けにも業務改善材料として取り入れ、その進捗を随時公開していくなど、さまざまな活動に役立てられる。これは、ネットイヤーが提供する“Social Voice for support”で実現できる」(石黒氏)

 担当者が顧客を訪問するスタイルの営業活動でも、顧客接点をデジタル化することにより分析が可能になる。営業報告は文書でなく、どこで誰が何をしたかといったデータとして取得、また提案書などに社内のどの資料をどのように活用したかといった情報を蓄積、それらの分析からベストプラクティスを導き出し、標準化していくことで、営業活動の底上げが期待できる。これも、継続的に顧客と付き合っていく、一つの姿だ。

 「日本企業の営業は“ど”営業すぎる。それは日本企業の強さでもあるが、弱さでもある。しかし、少なくとも多くの企業がSFAの導入くらいは行っているはずで、データを分析しようという基盤は構築されているはずだ。重要なのは、その基盤をデジタルマーケティングプラットフォームという基盤に発展させること。マーケティングオートメーション、ソーシャルリスニング、データ分析やソーシャルカスタマーサポート、営業支援ツールを基盤にのせていけば、顧客行動の分析を行い、課題を見つけて対策を進めていくことができるはず。これを行うことで、数%くらいは簡単に営業利益を伸ばせる余地があると思う。あらゆるマーケティング活動は、データを取ることを目的として行うことが重要だ」(石黒氏)


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