流通支援事業では、流通、飲食、本部向けのリアルショップリサーチ(覆面調査)を行っているが、調査だけではなく、調査結果を受けた研修やコンサルティングまで含めたサービスを提供している。現在では、金融機関やショッピングセンター、飲食関連など、多くのサービス関連業が覆面調査を導入しており、こうした仕組みを利用して売上向上を目指す企業は確実に増えている。
「顧客の“当たり前”のレベルが向上している。もはや接客が良いのは当たり前で、些細なことでもクレームの対象になる。景気などの状況も厳しく、売上が上がらなくても仕方がないと考えている店舗は多い。しかしリーマンショック後や震災後でも、良いお店には顧客が確実に増えている」(福井氏)
例えば予算3000円で居酒屋に行こうと思った場合、不況になればなるほど、同じ3000円を出すなら少しでも良い店に行きたいと思う。特に震災後は「どうせお金を使うなら印象の良いお店で使ってやろう」という心理が強くなっており、つまりリピーターの多い店が、不況にも強い店だといえる。
ある調査報告では、店頭における非計画購買が約90%といわれている。例えば、缶コーヒーが飲みたいと思ってコンビニエンスストアに買いに行ったとき、購入する缶コーヒーの商品を決めて来店する顧客は10%しかいない。
「その場の雰囲気で商品を決めるのがほとんど。いくらマスメディアでCMを流しても、ものが売れない時代となっている。ポイントカードで割引になる商品や、キャンペーン商品が最も売れたりする。店頭でのアプローチがなければ売れないことを学んだ」(福井氏)
そこで、営業支援事業としてメーカーの売り場を活性化させるラウンダー業務を提供している。例えば消費財メーカーの担当者が販売店のバイヤーと新製品販売の打ち合わせをする場合、売り場に対するアプローチをしないと、その打ち合わせ通りに商品が展開されない。つまり、売り場で商品が目立たず、売れないという状況に陥る。そこでラウンダーが、店頭に特化した営業を代行することで売れる売り場の実現を支援している。
その一方で、キャンペーンも戦略的に実施しなければ期待した効果は得られない。一般的なキャンペーンの展開率は50%以下というのが実態だ。
しかしセブン-イレブンでは、人とシステムを組み合わせた店舗マネージメントを徹底することで、キャンペーン展開率100%を実現している。またセブン-イレブンは、POSシステムもいち早く導入しているが、POSだけを見ればすべてが分かるわけではない。さらにビッグデータ分析も注目されているが、それは結果の分析でしかない。
こうした状況を解決するための仕組みがMarket Watcherである。Market Watcherは、調査員やラウンダーが携帯電話などの端末から現場の状況をレポーティングし、データベース化するASPサービス。必要な情報がデータベース化されているので、検索機能を利用して、エリア別、都道府県別、業種別などにレポートを出力することができる。
さらにフィールド担当者から報告されたレポートに対して、コメントの入力ができるコミュニケーション機能も搭載されている。さらに集計機能やMicrosoft Excelへのダウンロード機能、店舗や商品棚などの画像集、スケジュール管理などの機能も搭載しており幅広い店頭のマーケティング活動が可能になる。また、採用企業の要望にあわせてカスタマイズもできる。
ある大手コンビニエンスストアチェーンでは、約2000店舗で自社PB商品のディスプレイコンテストを実施し、その売り場の画像報告にMarket Watcherを利用した。操作の容易なMarket Watcherを利用したことで、過去最高の約9割の店舗から応募があったにもかかわらず、事務コストを大幅に削減することが可能になった。
「効率の良いフィールド活動をするためには、こうあるべきというノウハウが生かされているのがMarket Watcherだ」(福井氏)
今後、メディアフラッグでは、イベント管理システムを中核に中国をはじめとするアジア地域への展開を強化していく計画。2012年11月には、中国に事業所も設立し、Market Watcherなどのツールをアジアに向けて展開している。
「今後は、まず国内におけるフィールドマーケティングナンバーワン企業の地位を確立し、この分野のリーディングカンパニーとなれるようにしたい。さらに日本の“おもてなし”をアジアに展開するという思いをコンセプトに、経営理念でもある“社会性のある事業の創造”を目指していく」(福井氏)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授